がんの治療は、手術、薬物治療(抗がん剤、ホルモン剤、分子標的薬など)、放射線治療が三本柱です。
そのうち、手術と放射線治療は局所に対する治療です。一方、薬物治療は全身のがん細胞に効きます。
がんが再発した場合、全身に作用する抗がん剤やホルモン剤を投与することで転移巣に効かせ、結果として延命を目指すことが治療目標になります。
基本的に、転移巣にも原発巣と同じ治療をします。
たとえば乳がんの肺転移なら、肺がんではなく、乳がんの治療を踏襲して行います。
ただし、遺伝子が変化したがん細胞が転移してくるので、原発巣とは性質が多少違ってくる可能性があります。
同じ薬が効くかどうかは投与してみないとわからないところがあります。
乳がんの場合、原発巣ではホルモン受容体が陽性だったのに、転移巣では陰性になっていることはよく経験します。
ホルモン受容体陽性の場合には、まずはホルモン剤を使ってみて、効かなかったら異なるホルモン剤を順次投与します。
ホルモン剤が尽きた場合には、抗がん剤を投与することになります。
再発がんに対しても今は効果のある分子標的薬がいろいろ開発され、上市されています。
たとえば大腸がんは、抗がん剤のフルオロウラシルが薬物治療の中心だった時代は、再発したら、どのくらいいきられるかという延命効果を示す指標である生存期間中央値は6~12カ月とされていました。
ところが、殺細胞効果の高いオキサリプラチンやイリノテカンを加えることにより、生存期間中間値は大幅に延長しました。
加えて、分子標的薬のベバシズマブが2007年4月に承認されてから、セツキシマブ、パニツムマブが相次いで承認され、それらの分子標的薬を組み合わせた多剤併用療法によって、生存期間中央値は現在36カ月以上に延長しています。
ベバシズマブはVEGFを標的にした血管新生阻害薬です。
がんが転移するようになる原因の一つは新生血管ができることですから、それを阻害する働きがあります。
セツキシマブやパニツムマブは肺がんに使われる分子標的薬のゲフィチニブを同様、がん細胞の分裂に関与するEGFR(上皮細胞増殖因子受容体)を阻害することで抗がん作用を示します。
がん細胞にEGFRが発現している人に有効です。
ここでも問題になるのは薬剤耐性です。
最初の治療でたとえ99%のがんがなくなったとしても、残り1%のより悪性度の高いがん細胞がまた増殖してくると最初に使った薬は効かず、また別の薬を使わないといけません。
再発がんに対する薬物治療は、たとえば大腸がんの場合、一次治療から5次治療まで選択肢があります。
まずは一次治療から開始し効果が低下したときは2次、3次と順次治療を続けていきます。
がんの種類や患者さんの体調にもよりますが、三次治療のころには患者さんも体力が低下するなどして、薬を減量したり、化学療法を終了して、緩和医療だけにしたりすることが増えてきます。
再発・転移がん治療の主力として期待されるのはやはり薬物治療です。
抗がん剤のほとんどは殺細胞効果がある細胞毒と呼ばれるタイプのもので、細胞の分裂に関わるさまざまな相に作用し、がん細胞を破壊します。
こうしたタイプの抗がん剤の開発はもう限界にきているといわれます。
地球上に存在する材料となる物質はほぼ出尽くしたと考えられているからです。
現在、盛んに開発されているのが分子標的薬です。
近年の研究で、がん細胞の増殖や転移に関するバイオマーカーがわかってきました。
その代表格が前述したベバシズマブなどの血管新生阻害薬です。
転移のメカニズムがいろいろとわかってきたことで、血管新生阻害薬以外にも、転移を抑制する新しい治療薬の研究が世界中で行われており、今後も新しい分子標的薬が開発されると考えられています。
ただ、分子標的薬にも問題はあります。
子標的薬は殺細胞効果を有する抗がん剤と比較すると、がんのバイオマーカーに特異的に作用するので副作用が少ないといわれていますが、かなり強い皮膚症状がでることがあります。
ゲフィチニブやセツキシマブ、パニツムマブはEGFRを標的にした薬ですが、このEGFRは正常な皮膚の上皮細胞にもたくさん存在しており、そこにも作用して副作用として出てしまうのです。
開発費がかかるので高価なのも難点です。
分子標的薬でもっとも成功したのは乳がんのトラスツズマブですが、それ以外は効果が限定され、分子標的薬単剤ではなかなか効きません。
そこで殺細胞作用がある抗がん剤と併用して、延命効果を得られるような組み合わせがいろいろと工夫されています。
最近、がん細胞の中には抗がん剤や放射線治療に抵抗性を有するがん細胞のオリジナルで、未分化な細胞があることが報告され「がん幹細胞」と呼ばれています。
それを叩かない限り、がんの転移・再発は治らないのではないかともいわれ、がん幹細胞に対する研究が注目されています。
がん幹細胞がどのくらいの頻度で見つかるか、それに対してどういう薬が有効なのかなど、研究はまだ始まったばかりです。
再発・転移がんの患者さんの多くは、残念ながら完全に治すことは難しいので、ゴールは延命と緩和。
延命という希望を捨てない中で、そうやって副作用を減らして、QOLを上げるかを考慮することが大切。
抗がん剤には吐き気や便秘などの消化器症状多いので、できるだけ副作用を減らし、快適に過ごせるように配慮することが大切。
緩和で麻薬系の薬剤が処方されている場合は、それが原因で便秘になることがある。
最近はTS-1やゼローダなど経口の抗がん剤や経口の分子標的薬を投与する機会が増えていて、遭遇する機会が多い。
経口の抗がん剤にもそれなりの副作用がある。
新しい抗がん剤の、特に副作用に関する知識を得て、患者さんに的確に情報を伝えていきたい。
制吐剤も中枢系の吐き気と末梢系の吐き気では使用する薬が違うので、症状を聞いた上でアドバイスする。
患者様の症状、体質、病態に、よく適合した、より効果的な、抗がん活性を持つ漢方薬(生薬、薬草、薬用動植物、健康食品)を、調合致します。
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