子宮壁を形成する筋肉組織が異常増殖し、良性の腫瘍(コブ)ができる病気。
どこの組織にできるかで種類が異なる。
原因は不明、30代以降に多く、筋腫の芽がエストロゲン(卵胞ホルモン)の刺激を受け、長い年月をかけて成長する、と考えられている。
小さいものではほとんど自覚症状はない。大きくなるにつれて症状が現われる。
代表的な症状は月経過多で、レバーのような血のかたまりが混じるのが特徴。
月経期間の延長や月経周期の短縮、不正出血が見られることもある。
貧血になると、息切れ、倦怠感などの症状も現れる。月経痛も比較的多い。
さらに大きくなると周期の臓器を圧迫し、下腹部痛、腰痛、排尿障害、便秘などの症状も現れる。
また、発達場所によっては、不妊や流産の原因になる。(漢方薬を服用し、鍼灸治療を併用する◎)
(1)筋層内筋腫=子宮の壁の筋層内に発生し、小さいうちはほとんど無症状だが、大きくなると月経症状や圧迫症状が現われる。
(2)漿膜下筋腫=子宮壁の一番外側の漿膜のしたに発生し、外側に突き出るように発育する。自覚症状が軽く、赤ちゃんの頭くらいの大きさで発覚することもある。
(3)粘膜下筋腫=子宮内膜の下に発生し、子宮内部に向かって発育。小さくても激しい症状が出て、不妊や流産の原因になる。
(4)多発性筋腫=筋層内筋腫、漿膜下筋腫、粘膜下筋腫のうち、2種類以上が合併して発生する。 実際には、これが最も多い。
筋腫は閉経すると自然に小さくなり症状も改善する。→筋腫が小さくて症状も軽い場合→治療は行わず経過観察を続ける。(漢方薬服用◎)
治療法には薬物と手術がある。
大きさや発生部位、年齢、妊娠、出産の希望などを考慮して選択する。
手術を行わない場合は、漢方薬と鍼灸治療を併用する◎→妊娠、出産可能。
貧血や月経痛は、鉄剤や鎮痛剤などでも軽減できるが、副作用の心配ない漢方薬、鍼灸治療も効果大◎
月経を止める偽閉経療法(エストロゲンの分泌を抑制する薬=副作用あり)、閉経年齢に近い女性がよい。
筋腫だけを取り除く筋腫核手術と、子宮ごと取り除く子宮全摘術がある。
筋腫核手術では、再発の可能性が残る。
子宮全摘術では妊娠・出産はできなくなるが、再発の不安はない。
両手術とも、腹腔鏡手術も可能=開腹手術に比べ、術後の回復が早いなどのよさはあるが、高度な技術が必要、適応も限られる。