がんの再発・転移を考える(1)

がんの再発・転移を考える(1)

日本の最新がん統計によると、がんの約6割は治るようになりました。
しかしながら、残り4割のがんは再発して、不幸にして命を落としてしまいます。
再発の多くは、がんの転移によるものです。
がんによる死亡を今以上に減らすためには、転移・再発がんをいかに克服していくかが課題といわれます。
局所にできたがんを取り除いても患者さんを常に不安にさせるがんの再発・転移。
そのメカニズムや治療目標について考えます。

がんの再発・転移とは?

がんの大きな特徴は転移すること

がんは遺伝子の病気で、遺伝子が複数変化することで1つのがん細胞ができ、それが2つになり4つになりと指数関数的に増えていきます。
画像検査などで見つかる直径1cmほどの大きさになるまでは、がんの種類によっても異なりますが、約10年かかるとされています。
直径1cmのがんには数億個のがん細胞があるといわれています。

その段階でうまく外科的に切除できれば、治る可能性は高くなります。
しかし、実際は、がんが最初にできた場所(原発巣)を切除しても、原発巣が100万個ぐらいのがん細胞になったときにはすでにもう血液の中に出ていることもあるので、すでにがん細胞が全身を回っていることもあります。

原発巣近く(局所、領域)、あるいは他の臓器(遠隔)に残ったがん細胞から再びがんが生じることを「再発」と呼びます。
抗がん剤治療や放射線治療でいったん縮小したがんが再び大きくなったり、別の場所にがんが出現したりするのもすべて「再発」です。
血液やリンパのがん、前立腺がんなどでは「再燃」という言葉が使われます。
がん細胞が最初に発生した場所から、血液やリンパの流れににって他の臓器や器官へ移動し、そこで増殖することを「転移」といいます。
前述したように、転移は局所・領域再発と並ぶ、重要な再発様式です。
転移したがん細胞によって形成されたがんは、原発巣に対して、転移巣とよばれます。
原発巣から転移したがん病変は転移した部位によって、たとえば、乳がんが肺に転移した場合は、肺がんではなく、「乳がんの胚転移」です。
いずれかの遠隔臓器に転移があれば、「転移性乳がん」とも呼ばれます。
乳がんが肺に転移してできたがんは、基本的にはもともとの乳がんと同じ性質をもっています。
この転移するということが実は大きな特徴です。

がんは悪性腫瘍とも呼ばれます。
腫瘍は複数の遺伝子の変化により生じ、周囲の状況に関係なくどんどん増殖していく病変のことで、良性腫瘍と悪性腫瘍とに分かれます。
両者の共通した性質は、発生した場所(組織)とは無関係に細胞が増殖していくことです。
ただし、良性腫瘍は発生した場所にとどまり、その場で大きくなるだけです。
基本的には手術で取ってしまえば声明に直接危険を及ぼすことはありません。
一方、悪性腫瘍の場合は放置すると大きくなるだけでなく、さらには近くのリンパ節、加えて遠く離れた臓器にも転移して、命に関わるような状況を招きます。
この転移するという性質が、ガンを重大な病気にしている最大の理由です。

 

 

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