高齢ペットと漢方薬(痛みを和らげる)

高齢ペットと漢方薬(痛みを和らげる)

消炎鎮痛効果

加齢に伴う運動機能低下、障害に影響を与える関節の保護も大切である。
中枢神経系の障害がQOLを著しく低下させることはもちろんであるが、運動機能の障害もまた同様である。
移動が困難になることで、食事、散歩、排尿、排便に至るまで、不自由な生活になるのは人ばかりではなく、動物達のQOLの低下を招く。

関節痛などの痛みを直接取り除く漢方薬は意外に少ない。
附子が配合された漢方薬は確かに鎮痛効果を有している。
附子は修治されて用いられるため、ときに鎮痛効果が明確に現れない場合もある。
現在の西洋医学的な関節炎の治療は、主に非ステロイド性の消炎鎮痛剤(NSAIDs)によってなされている。
しかし、NSAIDsはその性質上、強い消化器障害を誘発し長期間の使用には耐えられない。
そこで、長期間にわたって安全に使用でき、消炎鎮痛効果を有する代替療法が求められる。

今回開発した処方(IPS‐PP001またはSRD‐P001)は炎症を抑えるための、抗炎症作用を有するハーブ、ショウガ、西洋シロヤナギを配合し、炎症によって生じて来る活性酸素を除去するために強い抗酸化活性を有するハーブ、フランス海岸松(ピクノジェノール)、ハトムギ、また疼痛を感じる中枢神経を抑制するハーブ、西洋シロヤナギ、シナモン、さらに痛んだ関節を修復するのに必要なグルコサミンを加えたものである。
ゆずはフラボノイド類を多く含み、それらの抗炎症作用はよく知られ、古来より痛みの除去に使われ、リューマチ性関節炎の疼痛緩和に使用されてきている。
ゆずに含まれるヘスペリジンは血液循環改善作用が強く、体全体の血液循環改善により、炎症性関連物質の代謝、除去にも関連している可能性はあるが、今のところ詳細は不明である。

痛みは直ちに治したいのが常で、治療の原点でもある。
配合されている西洋シロヤナギエキスは鎮痛、消炎活性を示す生薬としてよく知られているハーブである。ヤナギはサリチル酸関連物質を含む生薬で、サリチル酸の発見のきっかけにもなった植物であり、古来より“痛み止め”として人々に役立てられてきている。
現在でも、ヨーロッパでは鎮痛性の生薬として、関節痛の治療に使われている。
一方、ショウガは日本での民間薬として知られ、漢方薬でも頻繁に使われる生薬の一つで、解熱作用、抗炎症作用、鎮咳作用、消化性潰瘍抑制作用など多彩な作用を持つことで知られている。
今回は鎮痛、消炎、抗消化性潰瘍作用を期待して配合した。
ニッキ(桂皮)にもショウガと同様消炎、鎮痛の他にも多彩な作用のあることが報告されており、芳香性健胃剤として古くから一般の人々に用いられている。
このように、同製品の効果は製剤に含まれるヤナギ、ショウガなどによって急性炎症を抑制し、炎症によって発生した活性酸素をフランス海岸松エキスで消去して活性酸素による炎症の拡大を阻止し、さらに、ヤナギ、シナモンエキスで中枢に作用して、痛みを感じとるのを阻止することで発揮されている。
関節などの痛みを、この3点からブロックしようとする、“痛みのトリプル・ブロック”効果なのである。

メシマコブは免疫調節作用を持つキノコとして知られており、リュウマチなどに生じる免疫複合体の除去に関与している可能性が考えられ、リュウマチ性炎症の抑制が期待される。
ショウガのエキスがリュウマチ性関節炎に有効であることはアメリカで臨床研究が実施されて報告されている。
同製剤はそれに留まらず、関節を形成している結合組織の構成要素の一つであるグルコサミンを加えて、傷んだ関節組織の修復を図るために、長期にわたって摂取することで結合組織の崩壊の抑制、修復、関節の機能維持、関節機能の回復がもたらされるように工夫されているものである。

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