尿酸値の高い人(痛風、高尿酸値血症)

尿酸値の高い人(痛風、高尿酸値血症)

はじめに

痛風は1960年頃までには稀な疾患と考えられていた。
しかし食生活の欧米化やアルコール摂取の増加などにより、現在では本邦において約60万人の痛風患者がいると推定されている。
また痛風の基礎病態である高尿酸値血症も増加しており、現在成人男性の約20%以上が高尿酸値血症であると考えられている。
健常者の生体内には、通常1200mgの尿酸プールが存在する。
1日尿酸産生量(核酸分解および食物中のプリン体に由来する)はおよそ700mg/日であり、このうち約500mg/日が尿中に排泄され、約200mg/日が消化液、汗などに排泄される(腎外性排泄)。高尿酸血症はその成因から、尿酸産生量の増加(尿酸産生過剰型)、尿中尿酸排泄能の低下(尿酸排泄低下型)および両者の混在した混合型に分けられる。
中村らの報告では、高尿酸血症の病型頻度は尿酸産生過剰型12%、尿酸排泄低下型60%、混合型25%、正常型3%であったとしている。

痛風関節炎は、高尿酸血症が持続した結果として関節液中に析出した尿酸塩が起こす結晶誘発性関節炎である。
痛風関節炎は痛風発作とよばれ、第1中足趾節関節や足関節などの下肢の関節に多く発症する。
急性痛風関節炎は疼痛、腫脹、熱感が強く患者のQOLを著しく阻害するが、通常7~10日で完全に緩解し、次の発作まではまったく無症状であることが多い。
血清尿酸値をコントロールせずに放置すると次第に痛風関節炎が頻発して慢性関節炎に移行する。
また皮下に痛風結節と呼ばれる尿酸塩沈着を中心とした肉芽組織が出現してくるようになる。
さらに高尿酸血症の持続により、腎髄質に尿酸塩沈着による慢性間質性腎炎の所見が出現し、これに痛風・高尿酸血症に高率に合併する高血圧、脂質代謝異常、糖代謝異常などの合併症による細動脈硬化が加わり、痛風腎を併発してくる。(頭1に特徴的な痛風腎の超音波像を示す。
正常腎では腎髄質は腎皮質より低いエコーレベルを示すが、痛風腎では腎皮質よりも高いエコーレベルに抽出されるhyperechoicmedullaの所見を呈する)。
痛風腎では放置すると次第に腎機能低下が進行し、かつては痛風腎から尿毒症への進展が通風患者の死因の第一位を占めていたが、現在では高尿酸血症治療の進歩により尿毒症は減少している。
また高尿酸血症に伴う高尿酸尿症は尿酸結石形成ばかりでなく、カルシウム結石形成の危険因子であることも知られており、痛風・高尿酸血症患者には尿路結石が高率に合併してくることが知られている。

最近の大規模臨床研究の成績から高尿酸血症が心血管疾患の独立した危険因子であることが次第に明らかになってきており、さらに高尿酸血症は生活習慣病やその集族であるメタボリックシンドロームと密接に関連しており、またメタボリックシンドロームの基盤であるインスリン抵抗性は高尿酸血症、酸性尿を介して痛風・高尿酸血症の腎合併症である痛風腎の発症・進展に関与していることがわかってきている。
メタボリックシンドロームの各パラメーターと高尿酸血症の関連する機序は図2のように考えられている。
すなわちメタボリックシンドロームの源流に位置する内臓脂肪蓄積は、尿酸産生の亢進およびインスリン抵抗性による腎での尿酸排泄低下の両面から高尿酸血症を惹起するとされている。

 

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