出典: 薛鎧・薛己(セツガイ・セツキ)著 『保嬰撮要』
肝経の虚熱、蓄を発し、発熱咬牙、驚悸寒熱、あるいは木土に乗じて嘔吐痰涎、腹脹食少なく、睡臥不安なるものを治す。(急驚風門)
腹力中等度以下。腹直筋の拘攣を認める。
気血水いずれにも関わる。
少陽病。
原則的に、舌質はやや紅、舌苔は白、脈は弦細軟。
(本方を用いる時は)怒りはなしやと問うべし。(目黒道琢)。
この方を大人の半身不随に用いるのは和田東郭の経験である。(浅田宗伯)
虚弱な体質で神経がたかぶるものの次の諸症: 神経症、不眠症、小児夜泣き、小児疳症。
気血両虚の肝陽化風。
すなわち、いらいら、怒りっぽい、頭痛、めまい感、眠りが浅い、頭のふらつき筋肉の痙攣やひきつけ、
手足のふるえなどの肝陽化風の症候に、元気がない、疲れやすい、食が細い、皮膚につやがない、
動悸、しびれ感などの気血両虚の症候を伴うもの。『中医処方解説』
五臓の肝と胆の機能=「情報の処理と決断」=認知症に効果的
蒼朮4、茯苓4、川弓3、釣藤鈎3、当帰4、柴胡2、甘草1.5。(単位g)
平肝熄風・補気血(平肝鎮驚・理気和胃)。
ふるえ、ふらつきなど風動の症候が強ければ、桂枝加竜骨牡蛎湯と合方する。
いらいら、のぼせ、ほてりなど肝火の症候が強ければ、牡丹皮、山梔子を加味する。
または、加味逍遥散を合方する。
悪心、嘔吐、腹分膨満感などの症状と、舌苔が白膩で、痰湿の症候を伴う時は、
陳皮、半夏を加味する。(抑肝散加陳皮半夏)
矢数道明著 『臨床応用漢方処方解説』
癇症・神経症・神経衰弱・ヒステリー等に用いられ、また夜啼・不眠症・癇癪持ち・夜の歯ぎしり・癲癇・不明の発熱・更年期障害・血の道症で神経過敏・四肢衰弱症・陰萎症・悪阻・佝僂病・チック病・脳腫瘍症状・脳出血後遺症・神経性斜頸等に応用される。
龍野一雄編著『改訂新版漢方処方集』
痙攣、動悸、或は発熱、或は寒熱、或は嘔吐痰涎、腹脹、食欲不振、不眠のもの、或は左直腹筋緊張、心下部つかえ、四肢拘攣、或は麻痺、不眠、腹動、怒気あるもの。
桑木崇秀著『新版漢方診療ハンドブック』
パーキンソン病、脳出血後のふるえ、乳幼児のひきつけ、夜驚症、眼瞼痙攣、神経性斜頸、歯ぎしり。
怒りを外に表す患者への適応は容易だが、現代の日本人は怒りを内に秘めており、そのあまり、自分が怒っていることすら自覚しない例がある。
「怒り」の有無を丁寧に問うことが抑肝散(よくかんさん)を活用する鍵であり症例は多い。
メンタルヘルスカウンセリングが必要であり、有用である。
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