更年期障害は従来、女性だけのものと思われてきました。
ところが最近は、中年男性にもよく似た症状が起こることがわかっています。
男性の場合、加齢によって男性ホルモン(テストステロン)が減少していきます。
女性のエストロゲンほど急激な変化ではありませんが、それだけ症状が自覚しにくいともいえます。
テストステロンの減少程度は個人差が大きく、更年期に相当する年齢も40~60代と幅広いことも特徴のひとつです。
ED(勃起障害)とは、性交機会の75%(4回に3回)以上に、勃起が不十分なために性交(挿入など)ができない状態をいいます。
テストステロンの減少に加え、ストレスの影響も大きいことが知られています。
手足の冷え、イライラ、動悸、息切れ、不眠など、女性と共通の症状がみられますが、なかでもとくに多いのは、疲労感や倦怠感(だるさ)です。疲れがなかなかとれず、体力が落ちたと感じる人が少なくありません。
また、仕事や趣味に対する意欲や気力がなくなる、といった症状もよくみられます。
テストステロンは活力や積極性の源泉となるホルモンだけに、その減少が影響していると考えられています。
また、性欲の低下やED(Erectile Dysfunction:勃起障害)も目立つ症状です。
ED(勃起障害)とは、性交機会の75%(4回に3回)以上に、勃起が不十分なために性交(挿入など)ができない状態をいいます。
個人的な問題だけに人知れず悩み、自信を喪失したり、疲れや年齢のせいとあきらめてしまいがちですが、実は更年期障害のひとつであることが少なくありません。
2年くらい前から「すぐイライラする、疲れやすい、やる気が出ない」といった症状があります。
病院に行っても「異常なし」との診断ですが、漢方薬でやる気を出すことはできますか?
(47歳・男性)
ストレスの多い働き盛りの年代の「やる気が出ない」という症状は、かつては「初老期うつ病」と思われていたのですが、最近では、そのなかに「男性の更年期障害」というべきものが含まれていることがわかってきました。
男性更年期障害は、ホルモンバランスの変化に、加えて過剰なストレスが加わると、起こりやすいと考えられています。
漢方でいえば、生命エネルギーである「氣」の失調を来した状態で、「氣」の働きが不足する「氣虚」が疑われます。
こうしたとき、漢方では「氣」を補う薬を用います。
特に男性には、男性ホルモンのような作用がある「山薬」という生薬を含む「六味地黄丸」「八味地黄丸」などがよく用いられます。
また、「地黄」や「附子」には免疫系を高める働きもあります。
次の10項目のうち、3つ以上あてはまる場合、あるいは1と7のどちらかがある場合は、男性の更年期障害を疑ってよいわれる。
1.性欲の低下がある
2.元気がなくなってきた
3.体力または持続力の低下がある
4.身長が低くなった
5.「日々の楽しみ」が少なくなったと感じる
6.もの悲しい気分、怒りっぽい
7.性機能(勃起力)が弱くなった
8.最近、運動する能力が低下したと感じている
9.夕食後、うたた寝をすることがある
10.最近、仕事の能力が低下したと感じている
体がだるい、気力がない、→ 「氣虚」→ 補中益気湯(虚)、八味地黄丸(虚~中)、六味地黄丸(虚~中)
疲れやすい、内臓下垂
抑うつ傾向、のど・胸のつかえ、 → 「氣滞」→ 香蘇散(虚)、大柴胡湯(実)
頭重感、腹が張りやすい
冷えのぼせ、顔が赤い、 → 「氣逆」→ 桂枝加竜骨牡蛎湯(虚)、柴胡加竜骨牡蛎湯(実)
発作性の頭痛、気が動転しやすい
「氣」の失調には、
「氣」の量が不足する「氣虚」、
「氣」の流れが滞る「氣滞」、
「氣」の流れが逆流する「氣逆」があり、
そうした病態に応じて漢方薬が処方される。
(虚)=虚症、 (中)=中間証、 (実)=実証
現在、うつ病を患っています。男性更年期症害の症状を聞いて、うつ病の症状と似ていると感じました。
更年期障害に効く漢方薬で、うつ病も治療できるのでしょうか? (36歳・男性)
男性の更年期障害の中には、抑うつ症状のある場合があります。
たしかにうつ病の症状と似ていますが、うつ病と男性の更年期障害とは、分けて考えた方がよいでしょう。
うつ病であれば、まず精神神経科に受診してください。
抗うつ薬を服用している人で、気持ちは安定したが、いまひとつ元気が出ないという場合には、「補中益気湯」や「香蘇散」などの「氣」を補う漢方薬の併用が有効です。
担当医に相談してみるのもよいでしょう。
ただ、うつ病には自殺をはかるような危険な症状もあるので、自己判断で抗うつ薬をやめたりするのは危険です。
6~7年前から、夜トイレに行く回数が増え、5年前に前立腺肥大症と診断されました。
現在、睡眠不足に苦しんでいます。漢方で頻尿を改善できますか? (62歳・男性)
排尿困難のなかでも頻尿は最も多い悩みで、特に「夜間頻尿」が問題です。
中高年の男性の場合、頻尿の原因で最も多いのは前立腺肥大症で、大きくなった前立腺により、膀胱の尿の出口が刺激されたり、尿道や尿が出にくいなどの排尿異常が起こります。
前立腺肥大症に対しては西洋薬でよく効くものがありますが、漢方薬を併用すると夜間頻尿が改善することがよくあります。
漢方では頻尿を「氣」を蓄える「腎」の働きが衰えた「腎虚」ととらえ、腎虚を改善する薬を用います。
特に「牛車腎気丸」などは、膀胱が収縮して尿を押し出す力を高めて、夜間頻尿の改善に役立ちます。
この薬は、胃腸が丈夫で、むくみ(浮腫)があるような人によい漢方薬です。
漢方では、西洋医学のような解剖学的な内臓ではなく、心身の機能の面から「肝、心、脾、肺、腎」という五臓の概念があり、その失調から病気をとらえます。五臓のひとつである「腎」は、水分代謝、成長と生殖、耳・骨・歯の機能の維持、驚きや恐れの感情のコントロールなどの機能を担っているとされ、腎の働きが衰える「腎虚」になると、次のような症状が現れます。
●気力・精力の減退
●視力・聴力の衰え
●排尿異常(夜間頻尿など)
●腰痛
●手足のしびれやほてり
苓姜朮甘湯(虚) 胃腸虚弱あり、腰より下の冷え、下半身が重だるい
清心蓮子飲(虚) 胃腸虚弱あり、腰より下の冷え、下半身が重だるくない
五苓散(虚) 胃腸虚弱なし、浮腫傾向あり、汗をかきやすい
牛車腎気丸(虚~中) 胃腸虚弱なし、浮腫傾向あり、汗をかきやすくない
猪苓湯(実) 胃腸虚弱なし、浮腫傾向あり、汗をかきやすくない
八味地黄丸(虚~中) 胃腸虚弱なし、浮腫傾向軽度~なし
六味地黄丸(虚) 胃腸虚弱なし、浮腫傾向なし、乾燥傾向、口が渇く
半年ほど前から体重が減り始めました。
体重を落としたくないと思ってたくさん飲んだり食べたりすると、大量の寝汗をかき、尿が出ます。
やせすぎた人に用いて体質改善できる漢方薬はありますか? もう少し太りたいです。(58歳・男性)
体重が減ってくる病気もいろいろあります。
ですから、急に体重が減り始めたようなときには、まず原因となっている病気がないか確認する必要があります。
例えば、糖尿病、甲状腺機能亢進症、がん、結核などの代謝性・消耗性疾患が原因となって体重減少が起こります。
このような場合は、まず、何よりも、その根本原因疾患の治療が最優先です。
特に病気がないのにやせるという場合に、漢方薬が威力を発揮し、役立ちます
この方は飲食を契機にいろいろな症状が出ているので、胃腸の働きを補って元気を増していく「補中益気湯」がまず考えられます。
この漢方薬には、「黄耆」という生薬が配合されていて寝汗を抑える効果もあります。
もちろん、漢方薬の服用と併せて、食事をしっかりとることが大切です。
糖尿病 のどの渇き、多尿、化膿しやすい 食欲があり、食べられるのにやせる
バセドウ病 首の腫れ、動悸、眼球突出 食欲があり、食べられるのにやせる
(甲状腺機能亢進症)
がん 発熱、患部の痛み・しこり 食欲がなく、食べられなくてやせる
肺結核 発熱、咳、痰、胸痛、息苦しい 食欲がなく、食べられなくてやせる
消化器の病気 下痢、腹痛、腹鳴 食欲がなく、食べられなくてやせる
急にやせてきたときには、現在あるいろいろな症状に注目し、原因となっている病気があるかないかを確認することが一番大切です。
真武湯(虚) 胃部振水音あり、むくみ、尿量減少あり、まっすぐ歩けない、ふらつき、めまいあり
茯苓飲(虚) 胃部振水音あり、むくみ、尿量減少あり、まっすぐ歩けない、ふらつき、めまいなし
安中散(虚) 胃部振水音あり、むくみ、尿量減少なし、上腹部痛、胸焼けあり
平胃散(虚) 胃部振水音あり、むくみ、尿量減少なし、上腹部痛、胸焼けなし
半夏瀉心湯(中) 胃部振水音なし、グル音亢進(腹鳴)あり
補中益気湯(虚) 胃部振水音なし、グル音亢進(腹鳴)なし、食後の眠気あり
香蘇散(虚) 胃部振水音なし、グル音亢進(腹鳴)なし、食後の眠気なし、便秘がち
上記、漢方薬を2週間服用しても効果に満足できない場合は、より効果的な、大山漢方堂薬局 調合漢方薬(オーダーメイド)を、お勧めします。
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