皮膚治療の漢方処方

皮膚治療の漢方処方

はじめに

急増する皮膚トラブル、これら疾病は血虚を基本とした「虚血血熱」が原因とも考えられます。
治療により、かゆみは治まりますが、定期的なかゆみ再発が普通で、施薬側・患者側ともに不安を払い、腰を据えて長期治療に取り組んでください。
服薬と同時に、生活習慣の改善(早寝早起き、目の酷使をしない、散歩などで身体を動かす)にも取り組んでください。
皮膚病薬の幾つかに防風・荊芥の配合がありますが、この生薬ペアは「かゆみ止め薬」として働きます。

ご提案する漢方薬

補血活血・調経=「四物湯」 = 血虚の基本対応薬

血虚:血の持つ濡養(栄養・滋潤)作用が低下した状態で、循環血液量の不足が起こす不快感のこと。
肌につやがない、目の疲れ・かすみ・乾き、爪がもろい、筋の引きつり(こむら返り)・四肢のしびれ感、月経周期遅延(甚だしければ無月経)・経血の過少など。

清熱瀉火・解毒・清熱化湿・止血=「黄連解毒湯」=三焦の実火(実熱)の代表処方

実熱:高熱・顔面紅潮・目の充血・熱感・口渇、口苦・イライラ・不眠など、甚だしければ意識障害・狂躁状態を呈する。
舌質は紅、舌苔は黄~黄膩
※その他熱証、血熱妄行・肝胆湿熱・脾胃湿熱・膀胱湿熱・心火旺・肝胆火旺・胃熱などに用いる。
※燥性を持つため、皮膚病治療に単独で用いません。

清熱瀉火・解毒・補血活血・止血=「温清飲」=四物湯+黄連解毒湯=血虚血熱に対する代表処方

(痒み治療に、基本対応薬として用いる。)
血虚血熱:皮膚につやがない、目の疲れ・かすみ・乾き、爪がもろい、筋の引きつり(こむら返り)・四肢のしびれ感、月経周期遅延(甚だしければ無月経)・経血の過少などの血虚の証候に、のぼせ・火照り・口渇・イライラ・不眠などの熱証や、鮮紅色の出血(鼻血・不正性器出血・下血)、灼熱感のある暗紅色の発疹(乾燥性)・皮膚炎・口内炎などを生じます。

舌質は紅、舌苔は黄 温清飲のエキス製剤は、四物湯と黄連解毒湯の等量配合です。
「かゆみ」を訴えるのは血熱が高まったとき、温清飲に清熱剤(黄連解毒湯・三黄瀉心湯)を追加します。
かゆみ治療後も温清飲を継続服用すれば(1~2包/日)、再発防止の手当てになります。

清熱解毒・活血=「五物解毒湯」=化膿性や掻痒性の皮膚疾患で、小発疹を繰り返すもの

補血潤燥・止痒=「当帰飲子」=四物湯(当帰・川弓・芍薬・地黄)
血虚が原因で起こるかゆみで、皮膚が著しく乾燥し、爪で肌を核と白い筋が残るような場合。
老人性掻痒症と理解されますが、若者にも急増中の病態です。
夜間かゆみが悪化。

疎風・清熱化湿・養血潤燥=「消風散」=炎症性でかゆみを伴う皮膚に対する代表処方

風湿熱の皮疹:強いかゆみ(夜間増悪)、局所の発赤と熱感、滲湿液が多いまたは水泡形成、身体の火照・熱感、口渇などが見られる。舌質は紅、舌苔は微黄

2製剤併用での治療の場合(消風散+)
皮膚の乾燥感が強い場合…+温清飲
かゆみ・熱感が強い場合…+黄連解毒湯
患部がじくじくする場合…+越婢加朮湯

去風化湿・清熱解毒=「十味敗毒湯」=炎症や可能傾向のある皮膚の初期に用います

皮膚化膿症・湿疹・蕁麻疹などで、風湿熱を呈するものに。華岡青州の創作した処方です。

乾癬体質改善(根治療法)+乾癬皮膚症状改善(標治療法)を並行して行なう

上記、漢方薬を2週間服用しても効果に満足できない場合は、より効果的な、大山漢方堂薬局 調合漢方薬(オーダーメイド)を、お勧めします。

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