気陰双補(夏秋に活躍する漢方処方)解説

気陰双補(夏秋に活躍する漢方処方)解説

(1)益気止汗・滋陰生津=生脈散(内医学傷弁惑論)

気陰両虚に対する基本処方
気津両傷・気陰両虚のショック:無気力状態・全身の倦怠無力感・息切れ・呼吸促拍・眩暈(めまい)・口渇など。
※夏の高温による発汗過多や、慢性病の経過に見られます。
肺気陰両虚:持続する慢性乾咳・無痰~少痰で粘痰・血痰、口やノドの乾燥感や刺激感・微熱・身体熱感などの肺陰虚の症候に、息切れ・全身倦怠感・自汗などの肺気虚の症候を伴ったもの。
舌質は紅で乾燥、舌苔は少、脈は虚。

(2)益気止汗・滋陰生津=生脈宝

生脈散に黄耆(補気、帰経は脾肺)を加える事で、補気効果を高め、発汗・慢性乾咳など肺への手当てを厚くしている。

(3)益気生津・清熱化湿=清暑益気湯(医学六要)

複数の処方があるが、どれも気津両傷に用いる処方。
気津両傷:暑熱環境での発汗、そして嘔吐・下痢・大出血などから、脱水症状が進み、身体機能不全を起こしているもの(無気力・全身倦怠、息切れ、口渇など)。

(4)補気通陽・滋陰補血=炙甘草湯(傷寒論)

心気虚(脈の結代・動悸・息切れ)や、心気陰両虚に対する代表処方。
心気陰両虚:脈の結代・息切れ・疲労感などの心気虚の虚候が主で、動悸・ノドや口内の乾燥感・眠りが浅い・寝汗・やせる・便が硬いなどの心陰虚の症候を伴ったもの。
舌質はやや紅で乾燥しやせている、舌苔は少、脈は結代であるいは細弱。

(5)滋陰補気・補益肺胃・降気=麦門冬湯(金匱要略)

肺と胃の陰虚に対する処方。
肺陰虚:ノドの乾燥感と刺激感・少量の粘膜や無痰・口渇など。
舌質は紅で、舌苔は少し、脈は細数。
胃陰虚:口やノドの乾燥感・乾嘔・吃逆・曖気・食欲不振・便が硬いなど。
舌質は紅で乾燥、舌苔は少や半戴剥苔、脈は細数。
※痩せて水気の少ない高齢者の、咽喉の乾燥感・刺激感(咳が連続してこみ上げ、著しいときは発作様にもなる)

(6)益気滋陰・清心火・利水=清心連子飲(和剤局方)

気陰両虚の熱証に対する処方。
気陰両虚・心火旺:イライラ焦燥感・不眠・胸が苦しいなどの心火旺の症候に、元気がない・食欲不振などの気虚の症候を伴ったもの。
淋症(尿量減少・濃縮尿・頻尿・排尿痛・残尿感)遺精、不正性器出血がみられる事が多い。
舌質は紅で乾燥、舌苔は少、脈は沈細数あるいは沈細無力。

※本処方は、鎮静と興奮の両作用によって、脳の興奮性の失調を緩和し、滋潤・機能促進・利尿・解熱・自律神経調整などの効果によって、病態を改善する。

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