熄風薬(そくふうやく)を考える

熄風薬(そくふうやく)を考える

熄風薬とは

熄風薬とは、「身体のふらつき・めまい・手足の震え・筋肉の引きつり・けいれん・麻痺」などを治すものである。
こららは内風と呼ばれ、肝風内動によって起こる不快症状を表す。
内風には、大きく3タイプがある。
①肝腎陰虚から生じた「肝風内動」、
②高熱や感染による痙攣・後弓反張がある「熱極生風」、
③血虚を原因とする「血虚生風」です。
熄風剤には、天麻、釣藤鈎、疾莉子、石決明、羚羊角、地竜、白僵蚕、全蝎、蜈蚣などがある。

熄風薬(そくふうやく)を考える

熄風薬とは、「身体のふらつき・めまい・手足の震え・筋肉の引きつり・けいれん・麻痺」などを治すものである。

平肝熄風・清熱化痰・益気=釣藤散(普済本事方)
肝陽化風に、脾胃気虚を伴うものの代表処方。
肝陽化風で脾胃気虚を伴う:頭のふらつき・めまい感・手足の震え、顔面紅潮・頭痛、イライラなどの肝陽化風の証候に、食欲不振・元気がない・悪心嘔吐・腹脹など脾胃気虚の証候を伴ったもの。
舌質やや紅、舌苔は膩。
※高血圧患者なら「熱感(頭痛など)」と「ふらつき・めまい」を併せ持つものに用いる。

平肝熄風・疏肝健脾・補気血=抑肝散(保嬰撮要)

もとは、「乳幼児のひきつけ」に対し用いる処方。
肝陽化風で気血両虚を伴う:イライラ・易怒、顔面紅潮・目の充血・頭痛、頭のふらつき・めまい感・手足の震え
気虚の証候に、肌につやがない・目の疲れやかすみ乾き・筋のひきつり(こむら返りなど)・生理周期延長や無月経など肝血虚の証候を伴ったもの。
舌質やや紅。舌苔は白。

滋陰養血・熄風=七物降下湯(修琴堂)

血虚の肝陽化風(血虚生風)に対し用いる処方。
肝陽化風で血虚を伴う:頭のふらつき・めまい感・手足の震えなど肝陽化風の証候に、皮膚につやがない・爪がもろい・目の疲れ・四肢のしびれ感・月経周期遅延・月経量が少ないなど血虚の証候を伴ったもの。
舌質淡。

《風治化痰薬》化痰熄風・益気健脾・去湿=半夏白朮天麻湯(脾胃論)

風痰上擾、回転性のめまいなどの常用処方。
脾虚生湿からの風痰上擾:悪心嘔吐・胸苦しいなど痰湿証候に、めまい・頭痛など風痰上擾の証候を伴ったもの。
舌苔は白膩。
食欲不振・腹満・泥状便・悪心の脾虚不運が平素からある。

平肝熄風・疏肝健脾・補気血・燥湿化痰=抑肝散加陳皮半夏(日本経験方)

抑肝散と同じ不快証候に、悪心嘔吐や腹部膨満感など痰湿の証候を併せ持つときに用いる。

平肝熄風薬

身体に病をもたらす、2種類の風がある。
ひとつは「ぞくぞく寒気カゼ」に代表される外風で、これを治療するのが辛温解表の麻黄・桂枝など。
もうひとつが内風で、「身体に起こるめまい・揺れふるえ」の不快症状で代表されるもの。
内風を鎮めるのが平肝熄風薬で、天麻・釣藤鈎がもちいられる。
「めまい・揺れふるえ」の不快症状、これは基本的に熱症状から起こる。
「引きつり・顔面紅潮・頭痛(甚だしければ卒倒・意識障害・顔面神経麻痺・半身不随)」などの熱症状が強く出てくる。
風証は変化が速く、病状悪化で意識障害を起こす可能性も高くなります。
漢方での対応手段は牛黄など開竅薬です。
平肝熄風薬は天麻・釣藤鈎に代表されるが、寒暖の性質などがそれぞれ異なるため、生薬の性質を知った上で治療に用いる。(熱邪・風痰・陰虚などが絡む)。

①テンマ(天麻)

〔起源〕ラン科オノノヤガラの根茎を外皮を剥き、湯通しの後乾燥したもの
〔効能〕平肝熄風・定驚、通経止痛
・めまいや頭痛に対する主薬のひとつ、特に肝風内動によるままいに効果がある。
「眼虚して頭旋し陰風内に起これば、天麻にあらざれば除く事あたわず」の説明の様に、回転性のめまいに用いる。
・「補薬とともに虚風を熄し、散薬とともに外風を散じる」とされ、虚実どちらの治療にも用いる。
〔性味〕微辛・甘、平
〔帰経〕肝

≪テンマの印象≫
新緑の森で目にしたテンマは、花も茎も地味な茶色、植物らしくない枯れた印象がある。
ナラタケ(木材不朽菌、複数種の総称)から栄養をもらい生活する腐生植物。
”オニノヤガラ”の名の通り、外見は直立する1本の八の様で、葉などの分岐は一切ない。
薬用部位は根茎、ヤマイモのように地中に長く伸びている。
回転性のめまい・ふらつきの治療に用いる。

②チョウトウコウ(釣藤鈎)

〔起源〕アカネ科のカギカズラの茎枝の一部をつけた鉤棘
〔効能〕熄風定驚・平肝清熱
・身体の揺れや、めまい(肝風内動)は熱症状を伴うため、性質微寒の釣藤鈎は用いやすい。
・高血圧の本態は肝腎陰虚と考えられるが、熱感症状と、肝風により起こる
身体の揺れやめまいを併せ持つ場合の治療に用いる。
熱症状が強ければ、清熱薬を追加する。
・高熱による痙攣に、老若問わず用いる。
肝と心包の性火に働くため、小児驚熱に特に良い。 
・清熱・鎮痙効果を増す目的で、他の熄風薬とともに用いる。
・煎じ薬にする場合、仕上げの段階で投入し、すぐ火を止める。
長時間の加熱で、効果が低下する。
〔性味〕甘、微寒
〔帰経〕肝・心包

《チョウトウコウの印象》
チョウトウコウの花を見たいと思い野山通い、ようやく出会ったその花は、小さな手毬のごとく愛らしいもの。
ツル草であり、枝の部分に生やしたカギ(鉤)を他の植物に引っ掛け、上へ上へと伸びて成長に必要な太陽を浴びる。
印象的なこのカギが植物名となり、カギカズラ(鉤葛)と呼ばれている。
カギの部分を切り取り、身体の揺れ・めまいの治療に用いる。

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