女性の更年期障害と漢方薬

女性の更年期障害と漢方薬

注意)一般に更年期障害と言えば女性の病気ですが、最近、男性の更年期障害もあるということで、ここでは、あえて「女性の更年期障害」というタイトルをつけています。

Q&A

相談① 更年期のゆううつに効く漢方薬はありますか?

親の介護に明け暮れて日々悶々としています。少しでも楽しく毎日を送りたいのですが、更年期のゆううつに効く漢方薬はありますか? (51歳・女性)

お答えします。

女性の更年期障害は、昔から「血の道症」といわれてきました。
「血の道症」とは、つまり月経にまつわる、さまざまな症状、閉経した後の症状(更年期症状)も含めたものです。
女性の「血の道症」では、「氣血水」の「血」の失調を中心に考えます。
血の失調を整える代表的な漢方薬が「当帰芍薬散」「加味逍遙散」「桂枝茯苓丸」「折衝飲」などで、なかでも、精神的なストレスが多く焦燥感のあるような人には「加味逍遙散」がよく効きます。
上半身の熱感があるような人に向く薬で、「寝つきが悪い、怒りっぽい」という症状のある人にもよく効きます。
この方の場合、「氣」の働きが不足している「氣虚」もあるようなので、「氣」を補って元気を出す「補中益気湯」などが有効でしょう。

女性の更年期障害によくみられる症状

抑うつ、のぼせ、イライラしやすい、めまい、発汗、肩こり、脱力感、不安、不眠、頭痛、耳鳴り、冷え、手足のしびれ

女性の更年期障害に用いる漢方薬

漢方薬の例         主な症状

加味逍遙散(虚)      便秘傾向あり 背中・上半身の発作性熱感あり
桃核承気湯(実)      便秘傾向あり 背中・上半身の発作性熱感なし S状結腸部の擦過痛*あり
女神散(実)        便秘傾向あり 背中・上半身の発作性熱感なし S状結腸部の擦過痛*なし
当帰芍薬散(虚)      便秘傾向なし 浮腫傾向、貧血あり
桂枝茯苓丸(中~実)    便秘傾向なし 浮腫傾向、貧血なし 安静時の動悸・不安、不眠なし
柴胡桂枝乾姜湯(虚)    便秘傾向なし 浮腫傾向、貧血なし 安静時の動悸・不安、不眠あり

(擦過痛)・・・腹診で左下腹部のS状結腸あたりを軽くこすった際に現れる痛み。

本来の自分を取り戻して、漢方で楽しい毎日を送りましょう!

更年期障害は、40歳過ぎごろから、50代半ばごろに見られる、閉経前後の女性ホルモン減少に伴う身体的、精神的な諸症状です。
とくに、卵巣機能が衰えて、卵巣で作られるエストロゲンが消失することで、体と心にさまざまな影響を及ぼします。
症状の出かたには個人差がありますが、のぼせ、発汗、冷え、イライラ、憂鬱、不安感、不眠、めまい、動悸、頭痛などの「不定愁訴」が現れます。
気力がなくなったり、物忘れがひどくなる人もいます。
体の変調に加えて、家庭環境の変化(子供の巣立ち、親の介護など)や個人の性格といった背景も影響して、つらい症状を引き起こします。

また、男性も50歳を過ぎた頃から女性と同じような症状が現われることがあります。
女性に比べて穏やかですが、男性ホルモンの減少が影響しています。
主にのぼせ、動悸、性欲の減退、腰痛、不眠、不安感、焦燥感といった症状が現れます。
これからの生活をより豊かにするためには、自分に合った方法で前向きに過ごすことが大切です。

 

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