「冷え性」によいツボ

「冷え性」によいツボ

夏場の冷え

冷え性の人は、不妊症になりやすいです。
事実、不妊症の人の8割の人が「冷え」に悩んでいます。
人が急な温度変化に対応できるのは5℃以内といわれています。
外気温と室内気温の差が、その境目を超えると…。
自律神経機能が低下して、いわゆる冷房病に。
夏を迎え、屋外から冷房の効いた室内へ移動する機会が多い夏の時期、冷え性対策に万全な備えを。

冷え性の人に効果的な鍼灸ツボ療法の実際

冷え性に効くツボとしては、へその両外側に位置する「肓兪」があります。
さらに腰の第四腰椎棘突起下より左右外側へ指二本分に位置する「大腸兪」、第一仙骨椎棘突起下から斜め下へ指一本分に位置する「上りょう」も骨盤内の臓器を整える上で効果的です。

特に足が冷えるという場合には、足裏で足の指を屈して最もくぼむところに位置する「湧泉」のツボも効果的。

冷房の冷たい風邪を頭・首・上背部に受けると頭痛・肩こり・風邪の元になり、鼻の弱い人は鼻炎に、呼吸器の弱い人は喘息になりやすいので要注意です。

冷え性の重要ツボ

湧泉(ゆうせん)、肓兪(こうゆ)、上僚(じょうりょう)、大腸兪(だいちょうゆ)

鍼灸を現代病に活かす、「大山鍼灸院」で、不妊症の治療に、よく用いる効果的なツボ=解説

(1)築賓(ちくひん)

築賓という名は、脛骨の後ろで、歩くと筋肉が突き上げられたように盛り上がったところにある重要なツボという意味。
のぼせ、冷え、二日酔いや乗り物酔いによる吐き気や嘔吐、膝の下からふくらはぎの後ろ側の痛み、てんかんやひきつけ、頭痛、腰痛、さらには前立腺の病気や下痢などのような、下腹部の痛みに効果がある。
また、このツボは、スポーツや長く歩いた後などに、筋肉の疲れが、すじのように固まって、こむら返りを起こしやすいところでもある。
こむら返りが起こったときは、その部分をよく温めてから筋肉を大きくつかむようにマッサージするのが効果的。 
さらに築賓は、解毒のツボとして知られている。
子どもの胎毒(乳幼児の顔や頭にできる皮膚病)やその他の病毒に効果がある。
いろいろな病気が原因となって起こるだるさや不眠、むくみ、疲労から起こる精力減退にも効果がある。

(2)三陰交(さんいんこう)

脾の臓・肝の臓・腎の臓の機能に関連する三つの経絡が交わる最重要ツボ。
さまざまな症状に効果があるが、とくに、足腰の冷えと痛みをはじめ、婦人科系の病気、男性の生殖器病やインポテンツなどに効果がある。
婦人科系では、月経不順、不妊症、子宮内膜症、帯下(おりもの)、冷え性など、更年期障害に伴ういろいろな症状、腰の痛みや太りすぎ、やせすぎなどによく効く。
その他、糖尿病や尿道炎、腎炎、膀胱炎、腹部の膨満感、下痢や便秘、足の関節痛、下肢のまひ、脚気、胃炎、腸炎、冷えからくる夜尿症などにも効く。
昔から三陰交は、男女の虚弱体質や胃腸を改善するために、健康灸をするツボ。
足の三里と三陰交は、心身ともに丈夫にするツボとしてよく用いる。

(3)太谿(たいけい)

足のくぼみにある重要ツボ。
人間の先天の元気と呼ばれる、生まれながらにしてもった生命力が強いか弱いかを調べる、いろいろな症状の治療をおこなうツボで、こむら返り、足のねんざや痛みなど、足の症状に効く。
全身のいろいろな症状にも有効。
血圧の異常から起こるめまいや立ちくらみ、耳の痛み・耳鳴り・中耳炎などの耳の病気、慢性の関節リウマチ、湿疹・じんま疹・しみ・そばかすなどの皮膚症状、前立腺肥大症、インポテンツ、月経困難症、月経痛、月経不順、腎炎、膀胱炎、夜尿症などに効果がある。
さらに、神経・気分の動揺、気持ちがたかぶってい眠れない、のぼせる、手足が非常に冷える、気管支炎、のどの腫れ、ぜんそく、嘔吐、便秘や痔などにもよく効く。

(4)復溜(ふくりゅう)

邪気(東洋医学でいう病気の原因)がくり返したまるところ。
女性の場合、冷えて下腹部が張るといった症状があるときの治療に効果的である。
月経痛がひどい場合や冷え性の治療に効果大=婦人病に効く、不妊症の治療に効果的。
婦人科系の病気に限らず、胃腸の調子が悪くて下腹部が張る場合にも有効。
耳の痛みや歯の痛みなどをやわらげる効果があり、手足にむくみがある場合にもよく効く。

(5)太敦(たいとん)

太敦は、この部分にからだのエネルギーの流れが滞り、邪気(東洋医学でいう病気の原因)がたまってしまうところ。
側腹部から下腹部、下腿部内側にかけての痛み、睾丸が上がって痛む、睾丸が腫れる、子どものひきつけ、失禁・夜尿症などに効果大。
子宮からの出血、子宮脱などの婦人科系の病気、精巣炎など男性性器の病気、ヒステリーの発作などにもよく効く。
太敦は、いろいろなけいれんの救急治療に用いられ効果的。

(6)照海(しょうかい)

からだに異常があるとき、明らかに邪気の集まるところ。
婦人科系の疾患、とくに月経不順や月経にともなう症状に効果的。
気分が落ち着かない、なんとなく気が重いといった精神的なものから、のどの渇き、腰の痛み、下腹の張り、手足のだるさ、胸のむかつき、吐き気といった不快症状にもよく効く。
月経不順は、女性に起こるいろいろな症状の原因となっている。
小さなことに腹を立てたり、イライラしたりするのも、月経の順によって起こる場合が多い。
照海は、このような時に効果がある。
また、子宮内膜症、子宮の位置異常の治療にも用いる。
照海は、足のだるさ、重さ、痛みなどの症状を取り除くために、湧泉、滞谿とともに用いる。
足の関節の炎症や、足の冷え、便秘、扁桃腺炎にも応用される。

⑥至陰(しいん)

「至」は、到着する意味。
「陰」は、小陰を指す。
足の小陰(小指)に至るツボ=至陰
足がほてる・冷える・胎児の位置異常、分娩障害、難産、頭痛、鼻づまり、鼻水、胸・わき腹の痛み、排尿困難、インポテンツ、夜尿症、便秘、肩こりなどに効果的。
とくに、泌尿器系の疾患に効果大。
腎臓機能が低下すると、足の小指がかたくなり、もむと痛いという症状が出る。
このような場合に足の小指にある至陰をよくもみほぐすと、腎臓機能が高まり、症状が改善される。

(7)湧泉(ゆうせん)

人間が生まれながらにしてもっている、生きるためのエネルギーが泉のように湧き出るツボ=湧泉
このエネルギーは、ここから湧き出たあと、全身をめぐるといわれている。
体調を整え、体力とスタミナをつける効果がある。
だるい、疲れやすいといった症状には、この湧泉をよくもむと、たいへん効果的。
気分の動揺があるときは湧泉への刺激で落ち着くことができ、気持ちがたかぶったり、精神的疲労があって眠れないときにも有効。
発作性の心悸亢進、ヒステリー球(ヒステリー患者の症状で、絶えず丸い球状のものが胸を上下する感じがする)、のどの痛みなどにも効果的。
婦人科系の疾患、腰、下腹部、足にかけての冷えや痛み、のぼせにもよく効く。
湧泉への刺激は血行を整えるので、いろいろな病気が原因で起こる冷えとのぼせをやわらげる。
したがって、冷えとのぼせがあらわれやすい高血圧症などの治療にも用いられる。

(8)期門(きもん)

期門は、身体機能に深く関係するツボの道すじ(経絡)が、交差する場所。
左右の乳頭の真下の線上で、第9肋骨が始まるところの内側にある。
月経不順、子宮内膜症など婦人科系の疾患に特に効果的。
熱性の消化器病で下痢がひどい、腹がかたく張る、わき腹にかけてしこりがあって痛いといった症状にも効果がある。
肝臓病や胆嚢炎などの場合に圧痛が出るツボで、ここを刺激すると症状がやわらぐ。
糖尿病、ノイローゼ、喘息発作、しゃっくりの治療にも用いる。

(9)帯脈(たいみゃく)

身体のいろいろな機能に関係のあるツボの道すじ(経絡)が、体内で、からだを帯にように一回転して束なるところ、帯をしめたときの高さにあるツボ。
章門のツボの下にある。
章門はひじを曲げてわき腹につけたとき、ひじがからだに当たるところ。
帯脈は、だいたいおへそと同じ高さになる。
腰や背中の痛みが腹にひびいて歩けない、腸が鳴って下痢をしている、尿があまり出ない、出にくい、といった症状に効果がある。
このツボは婦人病の特効ツボで、月経不順、卵巣・卵管・子宮の病気、女性の下腹部痛にすぐれた効果を示す。
卵巣・卵管・子宮に病気があるときは、帯脈に痛みが出る。
さらに、子どもの慢性胃腸障害にも効果がある。

(10)巨寥(こりょう)

つま先立ちで腰を深くおろしたり、跳んだりしたときに筋が現れるところにあるツボの意味。
骨盤の上端を腰から腹に向かってさぐると、骨盤のいちばん前側がわかる。
巨寥ツボは、その前端から指幅1本分ほど下がったところにある。
疲れて膝が痛い、足がだるくて重い、足がひきつる・しびれる・こわばる、などの症状に効果がある。
座骨神経痛の治療にたいへん効果のあるツボ。
また、腰痛、下腹部痛の治療に効果的なツボ。

(11)五枢(ごすう)

「五」は東洋で好まれる奇数で、幸運の数のひとつ。
「枢」は、「かなめ」という意味で、大切な場所を示している。
骨盤の上端を腰から腹に向かってさぐると、骨盤のいちばん前側がわかるが、五枢はちょうどそのあたりにある。
巨僚からは、指幅1本分ほど上。
寒気があって下腹がひきつるといった症状によく効く。
体を冷やしたり、ひどい過労のときなどに腰から下腹部、側腹部が痛くなるときがあるが、このような場合に五枢を用いて治療すると、たいへん効果がある。
また座骨神経痛や、精巣炎・精巣上体炎などの男性の生殖器疾患にも効果大。
婦人科系の病気もこのツボで治療可能。

(12)水分(すいぶん)

東洋医学でいう「水」を分ける場所にあたる。
腹診で、むくみがあるかないかを調べるために、重要なツボ。
下痢の場合は、このツボに圧痛が出る。
おへその上へ指幅1本分ほど上がったところにある。
ここを指で押さえて上下に動かすと下腹部に鈍い痛みが走る。
腸が鳴って腹痛がする、胸が苦しい、腹が太鼓のようにかたく張る、食欲がない、腸・胃が冷える、などの症状に効果的、冷えからくる背中や腰の痛みにもよく効く。
水分は利水をコントロールするツボとされ、胃内の停水、胃下垂症、排尿困難、腎臓病、水様便、むくみ、夜尿症などの治療に用いる=効果大。

(13)天枢(てんすう)

人体を上下に分けた場合、東洋医学ではおへそから上の部分を天と呼び、おへそから下の部分を地と呼ぶ。
天枢はちょうどこの二つの部分の気の交差する位置にある。
気とは、東洋医学でいう生命力、生体の生きるエネルギーの意味。
「枢」とは、かなめ、たいせつなという意味。
天枢というツボは、天地の気が交差する重要なツボという意味。
天枢は、おへその両側から指幅2本分ほど外側のところにある。
消化器系の胃・小腸・大腸・肝臓・胆嚢・脾臓の疾患全般に広く効果がある。
とくに吐き気や嘔吐をともなう慢性胃炎、胃弱による胸やけやゲップ、慢性の下痢に効果大。
さらに生殖器である子宮・卵巣・精巣の病気に効果的、呼吸器や心臓・脳神経系の疾患で消化器系の働きが衰えている場合にも用いる。
腎臓・膀胱の疾患、からだがだるく疲れやすい、根気がないなど、全身症状にも効果がある。

(14)肓兪(こうゆ)

「肓」は穴、ツボのことをいいます。
「兪」はそそぐという意味。
肓兪とは、邪気の注ぐツボという意味。
過労などのとき、このツボを軽く押しただけでも強い痛みを感じる、体力の低下を診断する際に利用される。
おへその左右両側へ指幅1本分ほど離れたところにある。
ここを人差し指で押すと、ズンと下腹にひびく。
心臓病による胸の痛み、黄疸、細菌性の下痢、腸の病気による腹痛、胃弱による胸やけ・ゲップ、十二指腸潰瘍などによく効く。
男性側の異常によって子供ができないときの治療に効果大。
また、低血圧、糖尿病、耳の痛み、からだがだるく疲れやすいとき、便秘、目の充血の治療にも用いる。

(15)関元(かんげん)

関元というツボは、健康のもとである元気にかかわる重要なツボ。
この場所は、腎経、脾経、肝経と任脈が体内で交わるところ。
おへその下から指幅3本分ほど下がったところにある。
必ずからだの中心線上にとる。
たいへん応用範囲の広いツボ。
胃腸障害をはじめ、精力減退、やせすぎ・太りすぎ、高血圧症、不眠症、冷え性、にきび、じんま疹など皮膚症状の治療に用いる。
このツボは男女の性器の疾患にもよく効く。
尿意がひんぱんに起こる、下腹部の膨張感がひどい症状、女性の場合には、子宮筋腫、月経痛、月経不順、子宮内膜炎、子宮のけいれんなどの症状緩和に効果大。
さらに、腎臓病やむくみ、抜け毛、円形脱毛症、躁うつ病、夜尿症などの治療にも用いる。

(16)中極(ちゅうきょく)

中極は、からだの機能と関係のあるツボの道すじのいくつかが体内で交差する重要な場所。
からだの中心線上で、おへその下へ指幅四本分ほど下がったところにある。
生殖器や泌尿器の病気に効果がある。
膀胱炎、膀胱まひ、尿道炎、腎臓病によるのぼせやむくみ、インポテンツ、夜尿症などの治療に有効。
婦人科系の病気にもよく効き、子宮内膜炎、帯下(おりもの)、月経不順、月経停止、月経痛、子宮筋腫、下腹の冷え・緊張感の治療によく用いる。
さらに座骨神経痛、下肢のリウマチ、頭重、腹膜炎などにも効果がある。

(17)気海(きかい)

気海は、東洋医学で心身のエネルギーをあらわす気の海をあらわし、気の変動の集中するツボ。
気の充実はすべての病気の回復を進め、気の欠乏は症状の回復を遅らせます。
気海のツボを整えることは、病気の治りぐあいを早めることになる。
おへその下にあるツボ。
からだの中心線上で、おへその指幅一本半ぐらい下のところにある。
このツボは気の集まるところなので、気の病気によく効く。
脳神経系からくる神経過敏症、心身症、ヒステリー、躁病、うつ病に効果がある。
婦人病や泌尿器疾患にも効果があり、膀胱炎、腎臓の病気、不妊症、子宮筋腫、インポテンツ、淋病、さらに月経困難症、月経痛、月経不順による腹の張り・ふくれによく効く。
ほかにも神経性胃炎、腸疾患などの消化器疾患の治療にも効果がある。

(18)腹結(ふくけつ)

「腹」は、はらをあらわし、「結」は、むすぶという意味があるが、腹結は、結積(しこり・痛み・便秘など)の意味になる。
つまり腹結は、腹部の結積に効果がある。
おへその涼外側へ、指幅四本分ほど離れたところから、さらに下へ指幅一本分少々下がったところにある。
ここを指で押すと、縦に線上のすじが感じられる。
一般に、下痢や腹痛の症状軽減のほか、便秘、わき腹の痛み、下腹部の神経痛、黄疸などによく効く。
とくに、みぞおちが痛んで下痢をする、腹の中にしこりができる、おへそを中心にしてしぼるような痛みがあるときに効果大。

(19)大巨(たいこ)

「大」は、たいせつの意味で、「巨」も同じ意味がある。
つまり、下腹の重要なツボであることをあらわしたツボ名。
おへその両側から指幅二本分外側のところに天枢というツボがある。
そこから下に指幅一本分ほど下がったところが大巨。
のぼせ、冷え、低血圧、糖尿病、慢性腸炎による腹の張り・ふくれ、腹が鳴る、過敏性腸症候群、慢性の下痢や便秘、不眠症、半身不随、慢性の腹膜炎、月経困難症などに効果がある。
とくに腎炎や腎臓結核、腎盂炎などの腎臓の病気、子宮内膜症、こしけ(おりもの)、不妊症、月経不順などの婦人科系の病気、膀胱炎など、下腹部の疾患に非常に効果がある。
大巨は男女どちらの不妊治療にも効果大。
さらにリウマチや座骨神経痛など下肢の病気にも欠かせないツボ。
昔から左側の大巨は、悪い血がたまって婦人病の原因になるという「於血」のあるなしを調べたり、取り除くために用いる。
そのため、のぼせの症状や腰の痛み、下腹部の張り、足の冷えなど「於血」が原因となっている症状に、とくに効果がある。

(20)大赫(だいかく)

「大」はたいせつという意味、「赫」は、赤という字が二つ並び、火の赤い形から転じて、輝くという意味がある。
したがって男性の大切な陰茎が、真っ赤になって大きくなるツボという意味になる。
おへそから指幅四本分ほど下のところで、からだの中心線から両側にわずかにそれたところにある。
男性のインポテンツや早漏、女性の不感症に効果大。
インポテンツや早漏、不感症などには、精神的な原因による場合もあるが、大赫に加え、腰の腎兪、腹部の肓兪、関元、足の三陰交といっしょに治療するとさらに効果大。
これらのツボはマッサージ、指圧、お灸のいずれもよく効く。

(21)曲骨(きょくこつ)

「曲」は、まがる、「骨」は、ほね。
したがって曲骨とは、曲がった骨、すなわち恥骨弓をあらわす。
別名、回骨、屈骨、屈骨端、尿胞。
恥骨の中心の上の方で、おへそより指幅五本分ほど下がったところにある。
下腹の張り、尿閉、産後のおりもの、こしけ、月経不順、冷えによって起こる臓器の機能低下、失精(腎虚)などの症状緩和に効果がある。
尿道炎、膀胱炎、膀胱まひ、前立腺肥大、夜尿症、慢性胃炎、内臓の虚弱などに効果大。
一般におへその下から恥骨の上にかけてあるツボは、すべて生殖器の病気に効果がある。
とりわけ婦人科系の病気によく効く。
なかでも、下腹部の骨ぎわにあるツボは、とくに婦人科系の疾患にすぐれた効果がある。

(22)水道(すいどう)

文字どおり、水が通じる道という意味。
水に関する泌尿器、生殖器、腹水や大便などの病気に効果がある。
おへその左右両側へ、指幅二本分ほど離れたところに天枢というツボがあるが、水道は天枢の指幅四本分ほど下のところにある。
下腹部のさまざまな病気、たとえば、便が出にくく下腹部が張るといった腸の疾患、尿が出にくく排尿時に痛みを感じたり、尿量・排尿回数に異常があらわれる尿道炎、膀胱炎、前立腺肥大などによく効く。
糖尿病や腎臓病の症状をやわらげ、むくみをとる。
そのほか婦人科系の疾患にも効果的で、子宮のいろいろな病気や、月経・更年期障害などにともなう腰痛、腹痛、下腹部の張り、肩から背中・腰にかけてのこりなどの症状をやわらげる。

(23)陰交(いんこう)

陰交は、三つの陰脈が体内で交わりあうツボ。
陰脈とはからだの機能に関係のあるツボの道すじのうち、陰陽の陰に分類されるもの。
別名、丹田、横戸、少関とも呼ばれている。
からだの中心線上にあり、おへそから指幅一本分ほど下がったところにある。
下腹が冷えて痛む場合や、産後の女性のおりものが止まらない、子宮不正出血、ヘルニアなどに効果がある。
また腎臓病、腹膜炎、慢性の下痢、月経不順、座骨神経痛などに効果がある。

(24)気衝(きしょう)

「気」は気血の気、「衝」は脈拍の触れるところ、皮膚の上からさわって脈を感じるツボ。
つまり気血の拍動を感じられるところで、衝脈の起こるところという意味。
鼠径部で、鼠径溝のほぼ中央、大腿動脈の拍動を感じるところに衝門というツボがある。
気衝は、この衝門と性器(男性の場合は陰茎の根部)とのちょうど中間にある。
一般に気衝は、男女の生殖器の病気によく効く。
子宮内膜症、卵巣炎、卵管炎、精巣上体炎、月経不順、月経痛の治療によく用いて効果大。
また、冷え性、尿道炎、膀胱炎、腎盂炎などの泌尿器疾患、腹膜炎、腹水、レイノー病、鼠径部の神経痛などにも効果がある。
さらに、腹が張る、腹部に熱があって痛みがある、陰嚢が腫れる、陰嚢が冷えて痛むなどの症状にも効果的。
難産のときにも、気衝ツボを治療に用いると効果大。

(25)腎兪(じんゆ)

東洋医学でいう腎の臓へ邪気(病気の原因)が注ぐところ。
東洋医学では、腎の臓の機能が活発であると、体力、体調が活発になりすべての内臓が調整され、全身が強健になると考えられている。
わき腹のいちばん下にある肋骨の先端と同じ高さにある背骨が第二腰椎、この第二腰椎の両側、指幅二本分ほど離れたところが腎兪。
腎兪の応用範囲は、たいへん広範囲にわたって効果的、生殖器疾患、泌尿器疾患、呼吸器疾患、循環器疾患、神経系疾患、婦人科系の疾患、代謝異常などさまざまな症状に効果がある。
めまい、立ちくらみ、高血圧症、糖尿病、やせすぎ・太りすぎ、不眠症、目の疲れ、耳の痛み、中耳炎、五十肩、座骨神経痛やぎっくり腰などの腰の痛み、しみ、そばかす、腹が鳴る・ふくれる・張るといった過敏性腸症候群など、たくさんの病気・症状に使用され効果的。
とくに泌尿器系の腎臓病や膀胱炎、尿道炎、婦人科系の月経困難症、月経痛、月経不順、不妊症、足の冷えにすぐれた効果を発揮する。
そのほかに痔、脱肛、直腸脱、インポテンツ、子どもの虚弱体質や夜尿症にも効果的。
具体的な症状がなくても、たとえば軽い疲労のときなどにも、このツボをマッサージすると、全身に生命力や気力がみなぎり、からだの調子がたいへんよくなる。

(26)志室(ししつ)

「志」は、こころざし、腎に対する精気のことをいう。
「室」は部屋・家のこと。
昔から「腎には志が宿る」とされており、生まれつきの体力の強弱がこのツボでわかる。
腎に病気があると、疲れやすく精気が弱まり、からだに元気がなくなる。
この状態を腎虚という。
志室ツボは、この腎虚状態を改善する。
左右の肋骨のいちばん下の端を結んだ線と、背骨とが交差するところが第二腰椎。
志室はこの第二腰椎から、左右に指幅四本ほど外側にある。
腎兪からは指幅二本分くらい外側になる。
全身の疲労感や、だるさによく効く。
背中から腰にかけての強い痛み、腹の中が非常にかたく緊張している。
排尿がうまくできないといった症状にも効果的。
また、睾丸の腫れ、陰部のできもの、陰部の痛み、食べ物の不消化、食べたものをよく吐く、急性の胃腸炎、座骨神経痛などにもよく効く。
さらに、腎臓病、インポテンツにも効果的。

(27)命門(めいもん)

文字どおり、このツボは命の門という意味。
人間の生命力の中心であることからこのツボ名がついたとされています。
別名を腎間の気、先天の元気がこのツボから出入りして、健康が保たれているといわれている。
第二腰椎の中心にある。
左右の腎兪のちょうど中間。
腰痛、精力減退から起こる耳鳴り、頭痛、結核性の熱、婦人科系の病気や月経異常、こしけ、おりものに効果がある。
頭が割れるように痛い、からだが熱っぽい、子どもの疳の虫やひきつけなどの症状にも効果的。
さらに子宮出血、腸出血、痔出血、鼻血などの出血を止める=血止めのお灸がよく効く。
このツボは先天の元気が宿るところとされており、人間が生まれつき備えている体調や体力を丈夫にする働きがある。
そのため、虚弱体質や精力減退、腰痛に用いて効果がある。
この命門ツボとあわせて、先天の元気の座である腎兪、後天の元気の座である三焦兪、元気のツボといわれている関元を使用すると、スタミナづくりにたいへん効果がある。
病気などで体力を消耗してしまったときには、これらのツボを刺激して体力の回復をはかるとよい。

(28)大腸兪(だいちょうゆ)

東洋医学でいう大腸の腑に邪気(病気の原因となるもの)が注ぐところ。
大腸の腑に出るさまざまな症状は、大腸兪と天枢をいっしょに用いると効果的。
天枢も腹部の病気全般に大変よく効くが、大腸兪と相助け合ってこそ、最大の効果を発揮する。
第四腰椎から外側へ指幅二本分ほど離れたところにある。
腰の左右にある大きな腸骨の最上部を結んだヤコビー線を目安にして、第四腰椎を探して、このツボを見つけるとよい。
背中のこわばり、腰から足にかけての痛み、ぎっくり腰、腹の張り・ふくれ、腹がゴロゴロ鳴る、おへそのまわりが切られるように痛む、慢性の下痢・便秘、慢性の腸炎、下腹部がしぼるように痛い、便や尿が思うように出ないなどの症状に効果的。
胃腸の調子が悪い場合、大腸に原因があるときは、腹が鳴る、下腹部が痛む、下痢や便秘、背のこわばり、腰痛などの症状が出るが、このような症状のときに大腸兪を用いると効果的。

(29)小腸兪(しょうちょうゆ)

東洋医学でいう小腸の腑に邪気(病気の原因となるもの)が注ぐところ。
関元と併用して治療すると、消化器、泌尿器の病気に効果大。
東洋医学でいう小腸の腑は、胃の腑・脾の臓につながり、腹を十六まわりする間に、水とかすを分ける役目があるとされている。
おへそを中心とした腹痛の場合、小腸に病気の原因があって起こると下痢になり、大腸に病気の原因があって起こるとしぶり腹になる。
小腸兪、膀胱兪、中膂兪、上僚、次僚、中僚、下僚はすべて殿部にあり、男女の生殖器の病気に深い関係がある。
仙骨(殿部の平らな骨)上にあるツボ。
仙骨には左右それぞれに四つのくぼみ(後仙骨孔)があいているが、そのいちばん上のくぼみの外側へ指幅一本分ほど離れたところに小腸兪がある。
膝をかかえ、背中をまるめさせて腰から下をさわると、仙骨の様子がよくわかる。
尿の色がおかしい、尿の量が少ない、下腹部のうずくような痛み、足の腫れ、息切れ、食欲不振、便に膿や血が混じる、痔が痛い、女性のおりものなどの症状に効果的。
また、おへそを中心にした腹痛で、下痢が激しいときはもちろん、便秘をしている場合にもよく効く。
下痢や便秘、婦人科系の病気など、下腹部の病気からくる腰の痛みには、小腸兪ツボのあたりを温湿布した後に、マッサージや指圧などの治療をおこなうと効果大。

(30)関元兪(かんげんゆ)

腰にあるツボ。
第五腰椎から左右両側へ指幅二本分ほど離れたところにある。
大腸兪の下のあたりで、殿部の平らな骨(仙骨)の上の方にある。
腰の症状に効果があるツボ。
腰の痛みやだるさ、しびれなどをやわらげるので、ぎっくり腰などの治療によく用いて効果大。
そのほか、急性および慢性の下痢、冷え性や月経痛などといった婦人科系の疾患にも効果的。

(31)上僚(じょうりょう)

臀部の平らな骨である仙骨には、左右それぞれ四つずつくぼみがある。
そのくぼみに「りょう」という字のつくツボが並んでいる。
上僚は、そのうち最も上にある。
仙骨の上の出っぱりから左右に斜め下へ、指幅一本分ほど下がったところにある。
指で押すと、骨のくぼみがわかる。
仙骨のくぼみは上から、第一後仙骨孔部、第二後仙骨孔部、第三後仙骨孔部、第四後仙骨孔部という。
上僚は第一後仙骨孔部のくぼみにある。
第二から第四までの後仙骨孔部にはそれぞれ次僚、中僚、下僚というツボが並んでいる。
これら上・次・中・下の「僚」の字がつくツボは、左右に二つずつあって、合計八つとなることから「八僚穴」と呼ばれている。
腰痛、下腹部の張り、子どもの夜尿症や尿失禁、けいれん、てんかん、ぎっくり腰などに効果がある。
さらに、便や尿の出がよくない、胃がムカムカして腹から突き上げるような感じがする、膝が冷えて痛む、鼻血が出るといった症状にも効く。
体力向上のために用いても効果的で、とくに「血の道症」と呼ばれる婦人科系の病気から起こる症状に対してはきわめて効果的。
婦人科系の疾患から起こる症状は主に下腹部の張り・痛み、足のむくみ、おりものが多い、頭が重い、便秘などであるが、上寥はこれらの治療に欠かせない必須ツボで、効果大。
子宮内膜症、子宮後屈からくる白帯下(おりもの)の激しいもの、月経痛、月経不順、月経困難症などに効果がある。

(32)次僚(じりょう)

上僚の次にあるツボ=次僚
腰にある「りょう」の字のつくツボの中で最も重要な働きをするツボ。
仙骨(臀部の中央の平らな骨)にあるくぼみ、後仙骨孔のうち、上から二番目の第二後仙骨孔部にあるツボ。
腰の両側にある出っぱった大きな骨を腸骨というが、この腸骨の上端に沿って、腰の内側を下の方にいくと、腸骨棘の隆起に触れる。
この隆起の内側の下方に次僚ツボがある。
便や尿の出が悪い、便通異常がある。
腰の痛みのため思うように動けない、ぎっくり腰、血尿が出て排尿時に痛みをともなう、足の冷え、腹が鳴って下痢をする、帯下(おりもの)があるといった症状に効果的。
上僚とともに骨盤内の臓器の病気や泌尿器の疾患に有効ツボ。
とりわけ女性の月経時の不調によって起こるイライラ、足の冷え、下腹部のひきつるような痛みは、骨盤内の臓器の機能異常からくるので、次僚を刺激して月経を順調にするとよい。
次僚に加え膀胱兪、胞肓、腹部の中極といったツボを併用して、マッサージ、指圧、お灸で治療すると効果大。

(33)中僚(ちゅうりょう)

上僚、次僚に続き、下僚との間にある=中僚ツボ
仙骨(臀部の中央の平らな骨)にある四つのくぼみ、後仙骨孔のうち、上から三番目の第三後仙骨孔部にある。
次僚から指幅半本~一本ほど下にある。
性器の病気、腎臓の病気、膀胱の病気、座骨神経痛、婦人病などによく効く。
上僚や下僚の効果とだいたい同様の効果が期待できるが、痔や膀胱炎などはこの中僚のほうが効く。
上・中・下の左右合わせて六つの「僚」のつくツボは、特に「下の六ツ灸」と呼ばれ、お灸が特に効果的。
性器の機能を活発にする働きがある=この六ツ灸はインポテンツ、不感症の治療にすぐれた効果を示す。
また、中僚は湿疹、皮膚炎の治療にも使われるが、その場合は、左右の上僚、次僚、中僚、下僚という。
「八寥穴」に加えて、腹部の巨闕、中完、期門、肓兪、天枢、大巨、関元、肩の肩井、背中の肺兪、腰の三焦兪の中から反応のあるツボを選んで治療すると効果大。

(34)下僚(げりょう)

「八寥穴」のいちばん下=下僚
仙骨(臀部の中央の平らな骨)にあるくぼみ、後仙骨孔のうち、いちばん下の第四後仙骨孔部にある。
生殖器、泌尿器、直腸、肛門、足、腰の疾患に効果的。
腹痛、右下腹部のしこり、しぼるような激痛、ひどい腰痛、血便、腹が張って便秘する、腰から下がまひする、インポテンツ、不妊症などによく効く。
また、このツボには消化器系の機能を高め、体力をつける効果がある
=結核性の病気、たとえば肺結核などの治療にも応用される。
さらに下僚は皮膚病にも効果がある。
湿疹、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、皮膚掻痒症、主婦湿疹とも呼ばれている進行性指掌角皮症などによく効く。

(35)陽関(ようかん):腰部

「陽」は太陽=陽気の陽、「関」は関門の意味。
陽関は、このツボの場所から下に、健康を意味するする陽気を伝える関門となる。
うつぶせに寝て、腰骨のいちばん高いところを左右に結んだ線をヤコビー線という。
陽関はヤコビー線と脊椎(腰椎)の中心線が交わるあたりに近い第四腰椎棘突起の下のくぼみにある。
腰に出るさまざまな症状によく効くツボ。
腰や腹にできたしこりのため腰が痛む、腰の曲げ伸ばしをすることができない、からだのしびれのため思うように動けない、といった症状に効果的。
腰痛をはじめ、座骨神経痛、リウマチ、関節炎、膝の痛み、下肢の麻痺、椎間板ヘルニア、半身不随などの治療に用いられ効果的。
さらに腰や下腹部の冷感、遺尿症、頻尿、膀胱炎、前立腺炎、月経不順、インポテンツの治療にも応用され効果的。

(36)膀胱兪(ぼうこうゆ)

東洋医学でいう膀胱の腑に邪気(病気の原因)が入るところ。
おへそから指幅四本分ほど下にある中極と相乗効果のあるツボ。
殿部の中央にあるやや平らな骨(仙骨)と腸骨のわきにあるツボで、仙骨には四つのくぼみ(後仙骨孔)があるが、そのうち上から二番目のくぼみ、第二後仙骨孔部のあたりから、指幅一本分ほど外側へ離れたところが膀胱兪ツボ。
かぜでせきや寝汗が出る、腰や背中が痛い、女性の下腹部のしこり、こむら返り、むくみ、腎臓病、糖尿病、膀胱炎、尿道炎、前立腺肥大症などに効果的。
膀胱兪ツボは膀胱の腑に邪気が注ぐところ=とくに膀胱の病気の治療によく効く。
その中でも、子どもの夜尿症、おもらしなどに、たいへん効果的で、昔から治療に使用されてきた歴史的ツボ。
また、女性の場合は膀胱炎になりやすく、下半身の冷えが原因で発病することが多いが、膀胱兪を治療すると冷えが治り、病気もよくなる。
下腹から腰、仙骨部にかけて位置するツボは、温める治療法が特に効果的(お灸がよく効く)。
体のこの部分は構造上、血液のめぐりがよくなく、うっ血が起こりやすい、したがって、この部位を温めると血液の循環がよくなり、冷えがとれ、冷えが原因で起こっている夜尿症や膀胱炎、排尿時の痛みが治る。

(37)胞肓(ほうこう)

「胞」は子袋=子宮のこと、「肓」は穴すなわちツボのこと。
胞肓=子宮疾患に、たいへんよく効く特効ツボである。
第二後仙骨孔部の外側へ指幅三本分ほどのところにある。
膀胱兪から、さらに指幅二本分近く外側にある。
ここを指で押さえて左右に動かすと、お尻全体に痛みが感じられる。
性器の病気、とくに子宮など婦人科系の病気に効果的。
婦人科系の病気の主な症状は、頭重、肩こり、腰のだるさ、下腹の張り、足の冷えなどがあるが、このような症状があるときに、胞肓を治療すると楽になる=効果大。
昔から腰から下をお湯の中に浸し、下半身を温める腰湯という治療法がある。
胞肓などの婦人科疾患に効くツボが、腰から仙骨部にかけてあるので、この部分をまとめて一度に温める腰湯はすぐれた治療法といえる=歴史的ツボ。
マッサージや指圧をする際も、治療前に温湿布などで温めてから行なうのが効果的(お灸後マッサージする=効果大)
そのほか、前立腺肥大症や尿道炎、膀胱炎、尿路結石などで起こる排尿時の痛みと排尿困難にもよく効く。
また、急性の腹痛や消化不良、腰から背中にかけての痛みにも効果的。
腸がゴロゴロいうのをしずめる効果もある。

(38)中膂兪(ちゅうりょゆ)

「膂」は、からだの中の一部突出したところ、「中」は、からだの中心。
「中膂」は、からだの中心の突出したところ。
すなわち、男性の生殖器である陰茎を意味していることがわかる。
また、「兪」は、邪気(東洋医学でいう病気の原因となるもの)の注ぐツボであることを意味している。
つまり、男性の尿道、陰茎に邪気が注ぐところ=中膂兪=中膂内兪。
第三後仙骨孔の外側へ指の幅二本分近く離れたところにある。
男性の尿道や陰茎に症状がある場合、前立腺炎や尿道炎、前立腺肥大症などの治療に用いられ、尿道の痛み、尿が出にくい、尿もれ、残尿感などの症状に効果的。
また、インポテンツの治療では、大赫とともに効果的なツボ。
腰の痛み、足がひきつって痛い、下腹部が痛い、といった症状にも効果的。
また、腎虚、糖尿病、疝痛、腹の張り、膀胱炎、腸の出血、直腸カタル、座骨神経痛などにも応用される。

(39)会陽(えよう)

身体の機能に関係するツボの道すじのうち、陰陽の陽に分類されるものが体内で交わりあうツボ。
尾骨の左右両側へわずかに離れたところにある。
便に血が混じる、慢性の痔、からだの冷え、下痢、陰部の病気に効果的。
とくに会陽は痔の特効ツボとして歴史的にも重要ツボ。
尾骨のちょうど先端にある長強ツボと併用した治療で効果大。
会陽ツボ、長強ツボを併用治療すると、肛門周囲の血行が良くなり、痔の痛みがやわらぐ。
会陽ツボ、長強ツボの治療は、歴史的にも、お灸と殿部のマッサージを併用するのが効果的。
注意=痔の治療で、お灸が特効するのは、痔核、脱肛、切れ痔であり、痔瘻に対しては、現代医療と併用する。
症状緩和、手術後の再発防止に効果が期待できる。

(40)長強(ちょうきょう)

「長」は、ながい=長生き、「強」は、つよい=丈夫、という意味。
長強ツボは、身体を丈夫にし、長生きができる=不老長寿のツボ。
長強ツボは、歴史的に痔の特効ツボである。
痔は、肛門の周辺にある静脈叢がうっ血して起こり、それが進むと静脈が破れて出血する。
長強ツボを治療すると、肛門の括約筋が締まり、血管が拡張するので血のめぐりがよくなりうっ血がなくなる。
お灸をすえて熱刺激を与えると、より効果的 = 普通、お灸は一回に三~五壮すえるとよいが、痔で、痛みが酷い場合は、最低でも、10~15壮ぐらいすえるとよい。
頭の百会とあわせて治療するといっそう効果的。
痔核、脱肛、切れ痔、いずれの治療にも有効。
そのほか、背中から腰にかけての痛みとこわばり、便秘、子どもの疳の虫、ひきつけ、精神的な症状にも効果がある。

(41)陰廉(いんれん)

「陰」は、陰部・陰器の意味、「廉」は、角すみ・かたわらの意味。
陰廉は、陰部の角すみにあり、陰部の病気を治すツボ。
婦人病によく効くツボ。
特に、不妊症の治療に効果大。月経の異常にもよく効く。
月経異常の治療は、陰廉、腎兪、上僚、次僚、中僚、巨闕、太谿と併用すると効果大。
睾丸炎、閉鎖神経痛、下肢の痛み、腰の冷え、下腹の張り、インポテンツ、不感症に効果的。

(42)衝門(しょうもん)

「衝」は、通り道=衝動・拍動を指す、「門」は入り口のこ意味。
衝門ツボは、動脈の拍動部にあり、体内のエネルギーの流れが腹部に向かって進む門戸(出入り口)にあたる。
おへその下から、みぞおちにかけての急激な痛みによく効き、子宮痙攣や、月経痛の突き上げるような痛みに効果大、更年期、冷え性の女性が、お風呂あがりや暑気あたりのときに、おへそからみぞおちにかけての痛みを訴える場合があるが、これは自律神経の失調で、頭に急激に血がのぼるために起こる。
東洋医学では、この症状を上衝といい、衝門ツボは、冷えとのぼせにも効果がある。
また、衝門ツボの付近は男性の生殖器病や婦人病のひきつるような痛み・圧痛が出るところ。
そのため衝門ツボは、精巣炎、脱腸・子宮位置異常から起こる痛みにも効果が期待できる。
幼児のひきつけ、動悸がして息苦しい、腹に水がたまるといった症状の治療に応用できる。

(43)箕門(きもん)

「箕」は、みのこと(穀物に混じっているゴミをふるい分けるための農具を指す)=けがれを取り除くという意味、「門」は出入り口のこと。
箕門は、からだの中に入ってきて混じるさまざまな異物=邪気(東洋医学でいう病気の原因)を取り除くツボ。
また「箕」は、両足をそろえて座る形のことも指している=足にまとわりつく邪気を取り除き、きちんと両足をそろえて座れるようにするツボ。
肉離れなど、太ももの痛みの治療に用いて効果大。
また、婦人病や、精巣炎など、女性、男性の生殖器病に効果がある。
そのほか、鼠径ヘルニア、閉鎖神経痛、足の静脈瘤、痔、遺尿症などの治療に用いると、鼠径部の腫れと痛み、尿漏れ、排尿困難などの症状をやわらげる効果がある。

(44)血海(けっかい)

「血」は、血の道の意味、「海」は、うみ=水の集まるところの意味。
血海ツボは、血の海=血の道症に関する病気を治すツボ。
おへその下の所に気海というツボがあるが、あお向けに寝て、足を六十度ほどに開くと、両足の血海ツボと気海ツボが正三角形をつくる。
東洋医学では「生きるエネルギー」を気というが、血のとどこおりを取り除くのが血海ツボ。
気のとどこおりを取り除くのが気海ツボである。
血海は血のとどこおりを取り除き、血液の循環をよくするツボ。
したがって、女性特有の生理から起こるいろいろな症状にたいへん効果がある。
たとえば、月経不順、月経痛、下腹の張り、むくみ、膝の痛み、腰の痛み、肩こり、頭痛などによく効く。
これらの症状は、東洋医学では於血といい、古い血が原因となって起こる症状とされている。
於血の症状が出ると血海のツボに必ず圧痛がみられる。
これは、血海ツボを治療するとすみやかにとれる。
血海ツボは、血行をよくするツボなので、更年期障害、貧血症、淋病、インポテンツ、不感症などにもよく効き、湿疹や肌の美容にも有効であり、太ももの痛みにも効果的。

 

 

ご相談はお気軽に

著書「脳を守る漢方薬」

認知症、アルツハイマー病、脳血管障害に、光明、最先端科学で、実証された、漢方薬の効果が明かされる。

「脳を守る漢方薬」

エビデンスの解説、紹介
医学博士 大山博行

同じカテゴリの記事

お悩みの症状から探す

ツムラ医療用漢方製剤(症状別)