「人」の字はひと、「迎」は、むかえる・むかえ会うという意味です。
人迎はからだの中に流れるエネルギーの道すじのいくつかが、むかえ会って交わるところにあります。
ぜんそく、慢性関節リウマチ、高血圧症、痛風、黄疸、気管支の慢性的な症状に効果があります。
また、神経性心悸亢進症、狭心症、胃けいれん、胆石症による痛み、めまい、のぼせ、結節紅斑などの病気の治療にもよく使用されます。
さらに人迎は、女性に多い甲状腺の機能の高まりから起こる橋本病や、血圧を下げるのにも効果があります。
「天」は人間のからだの上の方、鎖骨より上の部分をあらわし、、「鼎」は三つの脚をもった香をたく器のことをあらわします。
天鼎は胸鎖乳突筋と鎖骨とでつくられている三角形のくぼみの中心にあるツボです。
このツボ名は、天の生気がからだの中に入ってくる三角形の中心にあるツボということをあらわしています。
このツボがある胸鎖乳突筋の内側には、心臓と頭と結ぶ血管や神経が多数通っており、人間のからだの中でもとくに大切な部分です。
扁桃炎によるのどの痛みや腫れ、のどのふさがり、声がれ、息苦しさなどをやわらげるのに効果があります。
歯痛、手のしびれと痛みの治療にも使われます。
また、このツボは血液の循環を調節する場所として知られており、高血圧症で血液の循環に異常があるとき、ツボの周辺にしこりやこりが出ます。
このしこりやこりを取り除くことが高血圧症の治療に効果をもたらします。ただし、けっして強くは押さないように注意しましょう。
「水」はみず、経水を意味します。
東洋医学では、この部分に経水がうっ滞すると、ぜんそく、気管支炎を起こし、せきやたんの症状があらわれるとしています。
「突」は突く・突き出るの意味で、ここでは喉頭隆起を指しています。
つまり、水突というツボ名は、喉頭隆起のかたわらにあり、気管支炎やぜんそくなどの症状に効果があるツボという意味になります。
せきが出てのぼせる、のどが腫れる、息苦しいなどの症状によく効くツボとして知られています。
また、のどの調子が悪くて声がガラガラにかれてしまったときや、気管支炎・咽頭炎・喉頭炎・ぜんそくによるのどの腫れと痛みにも効果があります。
「天」は鎖骨から上の天部を指します。「突」はつく・穴の中からにわかに出る・にわか・あらわしいずるという意味です。
したがって天突は、それまで体内を走っていたからだの機能に関係のあるツボの道すじが頸部のくぼみの中に突然現れる場所ということをあらわしています。
のどの痛み・しびれ・声がれ、食べのもがのどを通らない、ものが飲み込みにくい、声が出ないほど息苦しいぜんそくなどの症状に効果があります。
天突は一般に気管と咽喉の病気に効果があるツボとされおり、さまざまな病気が原因で起こるせきやたんによく効きます。
のどが渇いていがらっぽい、ヒリヒリ痛む、たんがからむなどの症状の特効ツボでもあります。
軽い症状であれば鍼などを使わなくても、自分で人差し指をカギ状に曲げ、このツボを下に向けてぐっと押すだけで楽になります。
天突を押すと、のどの奥からあごの下にかけてツーンとひびくような刺激が走ります。ただし、のどのツボは押しすぎて息苦しくなることがよう、力の入れすぎに注意します。
そのほか、しゃっくりをしずめる場合にも使用されます。
「天」は鎖骨から上の部分、頭部を意味します。「柱」とは、大黒柱という言葉にみるとおり、最も大切なところを意味しています。
したがって天柱というツボ名は、頭部の重要なツボであることをあらわしています。
頭部のあらゆる疾患はもちろん、全身状態を回復するのに役立つツボです。
中年以降の人の血圧安定のために、たいへん効果があります。
急性の熱で汗が出ないときや、めまい、頭痛、目の疲れ、首の後ろや肩がこるときなどにここを刺激すると、治りが早まります。
また、だるい、疲れやすい、のぼせる、冷える、低血圧症、高血圧症、二日酔い、乗り物酔いなどの全身症状にも、すぐれた効果があります。
さらに、慢性鼻炎・蓄膿症による鼻づまり、鼻血、耳鳴り、むち打ち症や寝違え、むくみ、腎臓病の治療に使用されるなど、たいへん応用範囲の広いツボです。
首は、頭とからだを結ぶ血管や神経の通りみちであるため、その部分にある天柱を刺激すると、心身のさまざまな症状をやわらげるのに役立つというわけです。
すなわち、このツボを押したりもんだりすることによって頭部の血行が促進され、頭のぼんやりした不快感がすっきりし、快方に向かうのです。
風池は「風邪入りて邪気溜滞する」といわれるツボです。
東洋医学でいう邪気とは病気の原因のことで、寒・暑・風・湿・熱・燥・火の七つがあります。その中の風の邪気、すなわち「風邪」が人体の中に入って、池のようにたまるところがこの風池というわけです。
このツボは中風によく効くツボでもあり、風府、風門と並んで、かぜの特効ツボでもあります。
かぜをひいて頭が痛い、後ろ首がこる、からだの節ぶしが痛い、熱っぽい、咳が出る、だるいなどのさまざまなかぜの症状に対する特効ツボです。
ほとんどのかぜは風池を刺激すると治るといわれています。
ほかにも、めまい、たちくらみ、二日酔い、乗り物酔いなどの全身症状や目の疲れにもすぐれた効果があります。
さらに円形脱毛症、月経困難症、月経痛、寝違えの治療にも使われるツボです。
頭や胸のいろいろな症状が出ているときにも広く活用されています。
風府の「風」は、東洋医学で病気の原因といわれている邪気のひとつです。
「府」は、くら・みやこ・あつまるところの意味があり、風の邪気すなわち風邪がここに集まってくるということをあらわしています。
風府には舌本、鬼枕、鬼穴の別名があります。
鬼の字がつくツボはからだの機能が高ぶりすぎたときに、これを調整します。
頭痛・頭重、全身のだるさ、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、発熱、寒けなど、かぜによって起こるさまざまな症状をやわらげる特効ツボです。
東洋医学では、かぜの原因である風の邪気はまず背中の風門から入り、首の風池に集まるといわれています。
それがさらに進行すると風府に集まり、最後には脳の中に入って脳の髄を侵します。髄を病むと、全身の痛みとなるといわれています。
このため、風府でしっかりかぜを食い止めないと大事に至ってしまうというわけです。
そのほか、鼻血や蓄膿症、鼻炎などの鼻疾患、頭痛、脳出血、高血圧症にも有効なツボです。
大椎とは大きな椎骨の意味で、頸椎の七番目にある骨を指します。
「大」には、たっとい・偉い・たいせつ・重要などの意味があります。
まとめると、大椎は椎骨の重要なところにあるツボということになります。
嘔吐、鼻血、首・肩のこりに効果があります。とくに、首から肩にかけてこわばるような感じがひどいときには、大椎を中心とした指圧やマッサージが、たいへん効果的です。
また、片頭痛、湿疹、じんま疹、にきび、吹き出もの、痔、鼻かぜ、胃腸障害、ぜんそくなどにも効くツボです。
抜け毛や円形脱毛症、子どものぜんそく・虚弱体質の治療にも用います。
「後」はうしろ、「頂」はいただき・頂上のことを意味しています。
つまり、頭頂部の後ろという場所をあらわしているのです。前頂というツボに対して「後」という意味でもあります。
別名、交衝ともいいます。
一般に、頭部全体に関するいろいろな症状に効果があるツボです。
頭頂部の痛み・こわばり、寒け、めまいなどの治療によく用いられています。
「天」は鎖骨から上の部分を示す言葉である天部の天。
「よう」は窓という意味です。天ようというツボ名は天の窓という意味になります。
したがって天ようは頭部から頸部にかけて、そこに起こった様々な疾患に対して、効果をあげるツボということになります。
頭痛・頭重、顔の腫れや痛み、首がこわばってまわらない、歯が痛い、目が痛いなどの症状があるときに、効果を発揮します。
さらに、突発性の難聴、視力の衰え、夢をよく見て疲れる、よく転倒する、顔色が悪く、青ざめていたり、くすんでいるといった症状にも効果があります。
このツボは耳の乳様突起に胸鎖乳突筋が付着する部分のすぐ後ろ側にあるため、首の痛みにもとくに効果があり、斜頸や首の後ろのこりにもよく効きます。