尋常性乾癬と漢方薬(3)

尋常性乾癬と漢方薬(3)

乾癬とは

「乾癬」は、年齢とともに増加傾向にあります。完全治癒が難しい難治性皮膚病です。欧米人に多く、人口の約2%が、乾癬の患者と言われるほどです。
日本では、過去にはまれな病気といわれていましたが、最近では、食生活の変化、特に動物性脂肪を多く取ることにつれて、乾癬の患者さんが急増しています。
現在は、皮膚科外来の1~2%を占めるともいわれています。  

炎症性角化症の1つに分類され、症状は、厚い銀白色の鱗屑がみられ、境界が鮮明な紅斑を伴っています。
初めは頭にできることが多く、長い間フケと勘違いしている方も多いようです。
頭部のほか肘頭、膝蓋、臀部など、継続的に刺激を受けやすい部位によく出ます。
痒みは個人差があり、ひどく痒みがある場合もあれば、全く痒くない場合もあり様々です。

原因は解明されていませんが、遺伝的素因を持っている人が、悪い環境因子(かぜをひく、日光にあたりすぎる、など)を受けることによって発症すると考えられています。
「乾癬」の病態は、
1. 血管の炎症
2. 表皮の細胞分裂
の2点です。
そのため、乾癬の患者さんでは、皮膚の新陳代謝が普通の人の2~3倍の速さになっていると言われています。

「乾癬」と「肥満症」

「乾癬」の患者さんは、肥満症の人が多く、アトピー性皮膚炎の患者さんで、痩せ型の人が多いのと対照的です。
「乾癬」が、年々増加する傾向にあるのは、日本人の食生活が動物性脂肪を多く摂る欧米型に変化してきていることに関係が深いと言われています。
そこで、「乾癬」の」治療には、まず第一に、食事、環境ストレス等の生活習慣を改善して、太っている方は肥満の解消を、そしてアルコールを多飲する患者さんは、アルコールからの離脱を図ってください。そして、自分の体質・症状に合った漢方薬を服用することです。

標準体重の計算法 

< 身長(m)の2乗×22 >
例: 身長160cmの人では、1.6×1.6×22=56.32 で、56.32kgが標準体重になります。

漢方医学の考え方

「乾癬」は中国では「銀屑病」と称され、その皮膚症状(痒みがひどい、皮疹が紅い、落屑があるなど)から、多くは「血熱」の状態であると考えられています。
漢方医学は、病名だけでなく、皮膚の症状や体格・体質(「証」と言います)をみて漢方処方を決定します。
その「証」に応じて、血熱、血燥、血於、血虚、気虚の症候を改善することを中心に処方を組み立てていきます。
具体的には、血熱の患者さんには「温清飲」、血燥症には「当帰飲子」、血於症には「桂枝茯苓丸加ヨクイニン」、血虚には「四物湯」などを処方します。

尋常性乾癬の漢方療法

「乾癬」の原因はいまだ不明で、西洋医学でもその治療には難渋する。 また、その治療も長期にわたるため、治療剤による副作用も少なくない。
しかし、症状・体質を詳しく分析し、的確な「証」診断による漢方療法により、多数の患者さんの皮膚症状を改善、著明改善させることができる。

具体的処方は、黄連解毒湯、温清飲、白虎加人参湯、防風通聖散、桂枝茯苓丸等を患者さんの「証」により使い分ける。

「乾癬」の漢方療法を成功させるためには、皮疹形態と患者さんの症状・体質、「証」を的確に把握・理解して、漢方処方を選択することにより著明改善症例を多数発掘できる。

「乾癬体質改善(根治療法)+乾癬皮膚症状改善(標治療法)を並行して行なう。」

患者さん一人一人の、症状、年齢、性別、体質、皮膚症状、発症年齢、発症期間、等を考慮して、漢方薬を調合致します。 
大山漢方堂薬局にお電話ください。

 

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