頭首のツボ(1)

頭首のツボ(1)

百会(ひゃくえ)

「百」という数字は、もろもろの・数が多い・たくさんのという意味をあらわします。
すなわち、からだの働きに関係するもろもろの道すじが、一堂に集まり会する場所が、頭のてっぺんにある百会のツボというわけです。
百会のツボは応用範囲が広く、多くの症状に効果があるのは、そうしたツボ名の由来にも関係しています。

[治療の効果]

たいへん応用範囲が広く、指圧やお灸、鍼治療などによく用いられます。たとえば、血圧の変化や異常にによるめまい・立ちくらみのほか、乗り物酔い、二日酔いなどといった全身症状の治療に効果があります。
 また、疲れ目、鼻づまり、さまざまな病気が原因で起こる頭痛・頭重、耳鳴り、寝違えや首・肩のこり、脱毛症の予防、痔などにも効果があります。
 頭のてっぺんからまっすぐからだの芯に抜けるように指圧するのが治療のコツです。これによって、精神的なものが影響して起こる症状も含め、さまざまな病気が原因で起こる頭のぼんやりした感じがスッキリしてきます。

翳風(えいふう)

「翳」は、かざす・しりぞく・目がかすむ・かくす・かげなどの意味があります。
風は中風をあらわし、中風からくる目や耳の疾患によく効くツボと推測されます。

[治療の効果]

顔のまひ、けいれん、頬の腫れや歯痛に効果があります。これらが原因で起こる首・肩のこりや痛みもやわらげてくれます。
そのほか、難聴や耳の痛み、歯痛、めまい、乗り物酔いにも効果があります。
また翳風は、三叉神経痛の治療の特効ツボでもあります。
耳のまわりには、この翳風をはじめ、聴宮、角孫、竅陰、耳門など、いくつかのツボが集まっています。
これらのツボは難聴、耳鳴りの特効ツボです。中国では、耳の聞こえない子どもたちがこれらのツボに鍼治療をおこなうことで、聴力を回復したという報告があります。

角孫(かくそん)

角孫の「角」は、額の「かど」をあらわしています。「孫」は、まご・子の子、から「つなぐ」という意味があります。
角孫というツボ名は、額の角で、いろいろなからだの働きと関係のあるツボの並んだ線のいくつかがつながっているというところから由来しています。

[治療の効果]

目の病気、歯の病気、耳の病気に広く効果があるツボです。
また頭重・頭痛がするとき、めまい、立ちくらみのときにこのツボを押すと頭がすっきりしてきます。
目の疾患は結膜炎など、耳の疾患は耳鳴り、耳の痛み、中耳炎などにとくに効果があります。
歯では虫歯、歯槽膿漏の症状をやわらげます。

曲鬢(きょくびん)

「曲」には、まがる・かがむ・屈折する・すみ・かたはしなどの意味があり、額の角をあらわしています。
「鬢」は、横毛のことを指しています。
つまり、額の角で髪の毛のきわにあるという意味で、ツボのある位置が名称になっています。

[治療の効果]

頭の中の痛み、とりわけ血管性の頭痛・頭重に効果があります。
頭の両側から下あごにかけての腫れや痛みもやわらげます。
三叉神経痛、目の疲れを取り除きたいときによいツボです。

頷厭(がんえん)

「頷」は、おとがい・下あごのことを指しています。
「厭」は、疲れる・憎む・おす・しずむなどの意味があります。
下あごを押し上げ、歯を噛むようにすると筋肉が動くところ、すなわちこめかみのことを指しているのです。
漢字のもつ意味が、そのままツボ名になっているというわけです。

[治療の効果]

目の疾患やめまい、片頭痛などにとても効果があります。とくに後頭部の痛みをやわらげます。
また、耳鳴りや子どものひきつけなどの治療にも用いられるほか、顔面のまひやこわばり、三叉神経痛、手・腕の痛みにもよく効きます。

完骨(かんこつ)

完骨の「完」は、家のまわりにめぐる垣根をあらわし、垣根に欠けたところがないことから、まっとうするという意味をあらわします。
そこから、「完骨とは耳後の高骨を謂う」とされるように、耳の後ろの垣根のような骨(乳様突起)を指すツボ名だということがわかります。

[治療の効果]

完骨はさまざまな症状に広く効果がありますが、とくに片頭痛、めまい、脳充血、顔面の神経まひ、不眠症などの症状によく効きます。
立ちくらみをともなう頭痛・頭重の治療のほかに、頭や顔のむくみ、歯肉炎、耳の疾患の治療にも使う使うツボです。
口のゆがみ、首やうなじの痛み、動悸や息切れ、のどがつかえて痛いといった症状がみられるときに、この完骨を刺激するとたいへん楽になります。

竅陰(きょういん)

「竅」は骨にあいている穴のことで、「陰」は少陰腎経という東洋医学の用語を指しています。
つまり、陰をうかがう穴というのが竅陰の意味です。
竅陰と呼ばれるツボは、足にもあります。
親指からかぞえて四番目の指の端が足の竅陰です。

[治療の効果]

頭・目の痛み全般によく効きます。頭の痛みからくるめまい、立ちくらみが起こったときは、このツボを軽く押さえると症状がやわらぎます。
そのほかにも、こむら返り、うなじの痛みからくる耳の疾患、耳鳴り、舌からの出血にも効果があります。
耳の疾患への治療効果は昔から知られており、中国では耳の不自由な子どもの治療に竅陰が使われていました。
また、このツボは、疲れや血圧の症状など中年以降の人に特有の全身症状にも効果があります。
気分がすぐれない、疲れやすい、耳が聞こえにくいといったときに、このツボを指圧すると症状がやわらぎます。

耳門(じもん)

耳の門と書くとおり、東洋医学では、耳門は耳の病気の原因となる邪気が出入りする門にあたるところです。
耳の疾患全般によく効くということをこのツボ名はあらわしています。

[治療の効果]

耳の疾患全般にすぐれた効果があります。たとえば、耳鳴り、難聴、中耳炎、外耳炎などによく効きます。
そのほか、顔面の神経まひ、三叉神経痛などの治療にも用いられます。
また、歯の疾患(痛み)にも効きます。

聴宮(ちょうきゅう)

「聴」は、文字どおり、きく・しっかりきくという意味です。「宮」は、みや・御家で、生活の中心となる家の尊称です。
つまり、ものをしっかりと聞く場所の中心部であるというのがツボ名の由来です。

[治療の効果]

耳鳴り、難聴の特効ツボです。
とくに、蝉が鳴くようなジーッという音や、キーンという金属音のような耳鳴りをおさえるのに効果があります。
そのほか、耳の病気全般、顔の筋肉の病気からくる頭痛・頭重、めまい、視力の減退、記憶力の減退にもすぐれた効果があります。
耳珠の前には聴宮のほかに耳門というツボがありますが、この二つのツボは耳の疾患の治療に欠かせない大切なツボです。

頭維(ずい)

「頭」は、あたま・かしらのことで、「維」は、つなぐから転じて、かど・すみなどの意味です。
髪の毛の生えぎわ、頭の角にあるツボということをあらわしている名前です。

[治療の効果]

頭維の周辺には三叉神経が通っています。そのため、このツボは三叉神経痛や片頭痛に非常に効果があります。
また、目の病気や疲れ、視力減退、脳充血、のぼせなどの症状の治療にも用いられます。

 

 

 

ご相談はお気軽に

著書「脳を守る漢方薬」

認知症、アルツハイマー病、脳血管障害に、光明、最先端科学で、実証された、漢方薬の効果が明かされる。

「脳を守る漢方薬」

エビデンスの解説、紹介
医学博士 大山博行

同じカテゴリの記事

お悩みの症状から探す

ツムラ医療用漢方製剤(症状別)