ツボ豆知識(3)

ツボ豆知識(3)

「五臓五腑」と「六臓六腑」

人間の生命維持にとって大切なからだのしくみを五行になぞらえたものを五臓五腑といいます。
ところが、実はこの五つの臓腑のほかにも、東洋医学ではもうひとつ大切な組み合わせがあるとしています。

五行にあてはめないもうひとつの臓腑

それは、心包という臓と、これに対する三焦という腑の組み合わせです。
五臓五腑のひとつに心の臓がありますが、これは人間のからだの中でも一生、一定のリズムで動き続ける大切なものなので、これをしっかり包んで保護している袋があるはずだ、という考え方から名付けられたものが心包です。
一方、三焦のほうは、三つの熱源という意味があります。
これは、人間のからだは生命があるかぎり、外界がどんなに寒かろうが熱かろうがいつも一定のあたたかさがあるから、熱をつくるもとがあるのだろうと考えられて出てきたものです。
これを五臓五腑にプラスして六臓六腑というわけです。

東洋医学の基本は六臓六腑の考え方

この六臓六腑の考え方は、現代医学、西洋医学の体系とまったく異なるものです。
つまり、東洋医学の体系は、ひとつひとつの臓器が解剖学的に実在するというよりも、「自然界における人間が、生命活動をいとなんでいくために必要な、複雑かつ微妙な機能のあらわれとして臓器がある」という考えのもとにあるのです。
そして、人間のからだはすべて、この六臓六腑でコントロールされ、臓腑のどれかひとつでも機能がくずれると、からだの調子が悪くなって、いろいろな症状が起きてくると考えるわけです。

六臓六腑に対する「経絡」

東洋医学では、「六臓六腑の機能が正常に保たれ、それぞれの調和がとれていることが人間の健康につながる」と考えています。
反対に六臓六腑の機能と調和が乱れると、病気になりやすいというわけです。
したがって、六臓六腑には、常にその機能を正常に保ち続けるためのエネルギーが循環していると考えられています。
つまり、人間の六臓六腑へ通じるからだじゅうのあらゆる場所に、たくさんのエネルギーがめぐっていると考えているのです。
そしてこのエネルギーの流れる道すじは、「経絡」と呼ばれています。
経絡の「経」は縦の流れ、経脈を意味し、「絡」は横の流れ、絡脈を意味するもので、文字どおり頭のてっぺんからつま先まで、からだじゅうにエネルギーの流れがあることを示しています。
さらに経絡の種類は六臓六腑の十二の臓腑の機能に関連してそれぞれに対応しており、臓腑の数と同じ十二の経絡があると定められています。
すなわち、肺経、大腸経、胃経、脾経、心経、小腸経、膀胱経、腎経、心包経、三焦経、胆経、肝経の「正経十二経」といわれるものがそれです。
それらは順番にそれぞれの臓腑を経たうえで、最後の肝の臓をめぐる肝経から肺の臓をめぐる肺経へと再び戻ります。
こうして全体の流れがひとつに」まとまってつながるというわけです。
また、六臓の経絡を陰、六腑の経絡を陽と区別しています。

東洋医学で用いるからだのツボは、エネルギーの道すじにあり、それぞれの臓腑の機能に対応する経絡に沿って並んでいます。
足のツボなのにおなかの症状に効いたり、手のツボなのに頭の症状に効く、という独特の効果は、臓腑に対応してからだじゅうをめぐる経絡と深い関係があるのです。

「正経十二経」と「奇経八脈」

六臓六腑にはそれぞれの機能に対応した十二のエネルギーの道すじがあります。
これは「経絡」と呼ばれ、東洋医学のツボ療法の考え方をすすめるうえで、大切なものとされています。

からだじゅうの経絡をエネルギーが順調にめぐっていれば、人間のからだは健康に保たれることになります。
しかし、そのエネルギーに過不足があると、健康は保たれにくくなってしまうと考えられているのです。
そこで登場するのが、エネルギーの過不足を助け補う役割をもつもうひとつの道すじというわけです。
これは、任脈、督脈、陽キョウ脈、陰キョウ脈、陽維脈、陰維脈、帯脈、、衝脈、の八つで、「正経十二経」に対し、「奇経八脈」といわれています。
これらのうち任脈は、からだの全面中央、あごから腹部にかけての中心線を縦に走っています。
また、督脈は、からだの背面中央、背骨の上を走っています。
この任脈と督脈は、エネルギーの流れが過不足ないように循環器系の機能を調節しているものとして、とくに重要視されています。

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