女性の体の変化は、まず思春期を過ぎるころ子どもから大人へ劇的な変化をしました。
体がだんだん丸みを帯びて、バストがふくらみ、初潮(初めての月経)を経験した頃、男性とは違う、女性の性の仕組みを実感したことと思います。
女性の体には、月経をほぼ毎月起こすホルモンの流れがあります。
このホルモンの流れは、中枢神経と卵巣の働きによって、ある一定の決まったリズムを女性の体に生み出しています。
思春期に、この女性の体の基本的なリズム、働きがスタートし、以後の女性の人生、暮らしや精神面のすべてに関わる大きな変化が成し遂げられたわけです。
この大きな変化に直接的に、かかわった臓器は、「卵巣」です。
思春期以降、脳の命令を受けて、この卵巣から周期的に分泌される数種のホルモンとそのバランスが、私たちの心身の健康に大きく影響してきたわけです。
そんな意味で、卵巣は女性の体を健康に活動させる最重要な臓器であり、更年期の問題を考える上でも、避けては通れない重要ポイントです。
卵巣が、年齢と共にどのように女性の体にかかわり、それ自体がどのように変化するのか、更年期の問題を解く鍵はここにあります。
左右対になっている卵巣は、私たちが母親の胎内にいるときから、すでにセットされ、卵子(卵母細胞)をすでに数百万個も貯えていました。
卵巣は女性の体の成熟にともなって、思春期から活動をはじめ、脳からコントロールされて、規則的な周期で排卵をともなった月経のサイクルを生みました。
これと同時に、2つの女性ホルモン(卵胞ホルモンと黄体ホルモン)の分泌パターンも決定してきました。
女性の性の一番重要な「月経」や「妊娠」を的確に進める機能はすべて、この卵巣の存在にかかっているのです。
卵巣から分泌される女性ホルモンには、女性特有の丸みを帯びた体や、なめらかで弾力性のある肌をつくったり、生殖器や乳房、体温調節中枢や骨、循環器や脂質代謝など、女性の生命そのものに対する様々な力を発揮する緻密な働きが存在しています。
「精子」を迎え入れやすくするために頸管粘液の分泌を高める作用、膣内を酸性に保って雑菌を防ぐ作用、骨の老化を防ぐ作用、循環器系の病気(狭心症、脳梗塞、心筋梗塞など)にかかりにくくする作用など、女性ホルモンほど重要な働きをする者はありません。また、卵巣からの女性ホルモンの分泌サイクルは精神面へ影響を及ぼします。
人によって月経前の精神的な不安定が起きるのもその1つの現れです。
思春期以降、女性の健康は、女性ホルモンの源泉である「卵巣」の働きによって円滑に保たれていた部分がいかに大きいかわかります。
この卵巣の機能を、うまくコントロールする方法、副作用なく、まったく安全に、コントロールする方法が、東洋医学(漢方薬・鍼灸)の手法なのです。
1)骨・・・骨代謝に関わり骨を強く保つ。
2)循環器脂質代謝・・・心臓や血管の病気を予防する
3)脳・・・細胞の機能を維持する
4)体温・・・体温調節中枢に働き、基礎体温を二相性にする
5)皮膚・・・コラーゲンを増し、はりのあるつやつや肌を作る。
6)生殖器・・・妊娠出産にむけて器官を成熟させ、女性の体全体に働きかけます
7)乳房・・・乳房を発達させ、ふっくらとしたよい形を保ちます
卵巣の働きは40歳代に入ると、その主な機能である排卵やホルモン分泌が、50歳代の閉経(月経が1年間にわたって見られない状態)に至るまで、次第に低下しはじめます。
更年期は、一般的には、このような変化が現われる39歳ころから閉経を経て安定する59歳ころまでの期間をいいます。
更年期の症状とは、卵巣から分泌される女性ホルモンの減少が原因で、その影響が女性の身体面や精神面にいろいろと現われてくること、つまり、女性ホルモンの働きが少しずつ後退して、それまで安定していたからだの状態に今までと違った変化が現われてくる、それが更年期のはじまりというわけです。
更年期は、誰もが経験することですから、深刻になることは少しもありません。
最初に気づくのは、「月経不順」です。月経の周期がだんだん短くなったり、だらだらと続いたり。
そのうちに思い出したようにわずかな出血があったりして、やがて閉経を迎えるようになります。
個人差もありますが、「月経不順」のはじまりは早い人では30歳代後半、遅い人でも40歳代前半から始まり、月経がなくなる閉経は45歳から50歳前半が普通とされています。