ホルモンの種類

ホルモンの種類

脳下垂体前葉からのホルモン

性腺刺激ホルモン

分泌される性腺刺激ホルモンには、卵胞刺激ホルモン(FSH)と、黄体形成ホルモン(LH)があります。
卵胞刺激ホルモンは思春期ごろから活発に分泌されはじめ、卵巣に作用して、原始卵胞を成熟させます。
黄体形成ホルモンは成熟卵胞に作用して、排卵を誘発します。このホルモンの分泌が足りないと、排卵はうまくおこらないのです。
ということは、排卵時には、この卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンのふたつが盛んに分泌され、相互作用によって排卵が行われることになるのです。

甲状腺刺激ホルモン(TSH)

甲状腺に作用して甲状腺ホルモンの生成・分泌とその機能を促進させる役割を果たします。
甲状腺は、からだのなかのエネルギー代謝を調節する器官ですが、あまりこの機能が高まりすぎるとバセドウ病と呼ばれていて、眼球が飛び出たりイライラと落ち着かなくなったり、月経異常になったり、そうしたことで体力を消耗して体重が減少したりします。
甲状腺は人間のからだのなかのヨードを利用して、甲状腺ホルモンをつくります。

副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)

副腎皮質に作用してその機能を促進させます。副腎皮質からは人間のからだの電解質を調節するホルモンや糖質ホルモンのほかに、男性ホルモンが分泌されます。
副腎皮質刺激ホルモンが異常に分泌されて、副腎皮質が刺激を受けると、クッシング症候群と呼ばれる病気が心配されます。
クッシング症候群にかかると、肥満、高血圧、ムーンフェイスという症状が出ます。
また副腎皮質の男性ホルモンが過剰に産出されますと、副腎性器症候群があらわれます。
この病気にかかると女性性器のクリトリスが肥大したり、体毛が増えたりします。
最も重症な場合は、半陰陽になったりすることがあります。

成長ホルモン(GH)

甲状腺ホルモンと相互作用をして、発育や成長を促進させます。
したがってこのホルモンが不足しますと、小体症と呼ばれている病気がおこります。
小体症という病気は、生まれたときの身長・体重はふつうですが、2~4歳ごろから発育が遅れはじめるようになります。
ただ、知能は正常で、からだ全体のバランスはとれています。
現在ではこの成長ホルモンを人工的に合成して、小体症の治療などに使われはじめています。

乳汁分泌ホルモン(プロラクチン)

乳腺を刺激して乳汁の分泌をうながすホルモンです。
妊娠初期から分泌しはじめるこのホルモンは、出産直後には分泌量が最高に達します。
しかし、あまり過剰にプロラクチンが分泌されますと、卵胞刺激ホルモンや黄体形成ホルモンのはたらきを邪魔して、無排卵、無月経などの月経異常をおこします。
赤ちゃんにおっぱいを飲ませている間に月経がおこらないのはこのホルモンの作用のためです。

脳下垂体中葉からのホルモン

メラニン細胞刺激ホルモン(MSH)

両棲類や爬虫類のメラニン細胞に作用して皮膚の色などを変化されるこのホルモンが、人間に与えるはたらきはまだ不明です。
ただ、このホルモンが作用することによって、皮膚の色素沈着が増強されます。
妊娠すると、乳頭や小陰唇が黒ずんでくるのは、このホルモンの作用のせいといわれています。

脳下垂体後葉からのホルモン

抗利尿ホルモン(ADH)

腎臓の尿細管で水分再吸収の調節を作用するホルモンで、血圧の上昇も調節します。
とくに抗利尿作用をもっているところから、抗利尿ホルモンと名付けられています。
このホルモンが不足すると尿崩症と呼ばれる症状をおこし、のどが異常に渇いて、多量に水を飲むことになり、その結果頻尿・多尿をきたすことになります。また、小児科では、夜尿症となる傾向があります。

子宮収縮ホルモン(オキシトシン)

子宮筋に作用して子宮を収縮させる作用をもっています。
出産のときには、オキシトシンの作用によって陣痛がおこりますので、分娩の際には必要なホルモンです。
そういう作用を応用して、人工的に陣痛をおこさせるときに、オキシトシンを注射したりします。
また、乳腺にも作用して、入管を収縮させ乳汁の分泌を補助するはたらきもあります。
授乳中に子宮が収縮する痛みを感じるのはこの作用のためです。

卵巣から分泌されるホルモン

卵巣にはふたつの重要なはたらきがあります。
一般的に女性ホルモンと呼ばれる卵胞ホルモン(エストロゲン)ならびに黄体ホルモン(プロゲステロン)の産出と分泌です。

卵胞ホルモン(エストロゲン)

卵胞ホルモンは女性の第二次性徴をおこすホルモンです。
このホルモンの作用により、思春期になると女性は乳房がふくらみをもってきたり、性器に変化がおこったり、陰毛や脇毛が生えたりします。
また子宮にもさようして、子宮の筋肉を発育させ、頸管の分泌液を増やしたりします。
こうして受精の準備を整えています。
少し前には、思春期に皮下脂肪が増えてからだに丸みがでて」くるのは、卵胞ホルモンのためだといわれていましたが、卵胞を摘出した女性や、閉経後にも皮下脂肪がついていることもあり、卵胞ホルモンの作用とからだの丸みは直接関係ないとされています。
女性は男性にくらべて狭心症や動脈硬化の人が少ないのですが、これは卵胞ホルモンの影響ではないかといわれています。
したがって、閉経後のは動脈硬化による病気も増えてきます。
卵胞ホルモンは、1回の月経でおよそ5ミリグラムが産出され、血液のなかを循環してから、肝臓内で不活性化して、胆汁や尿とともに排出されます。

黄体ホルモン(プロゲステトン)

卵巣から卵子が排出されたあとに分泌されるホルモンで主に子宮で活動し、受精したあと子宮内膜にうまく着床される働きをもっています。
黄体ホルモンは体温をあげる作用をもっており、それによって排卵の時期を知ることができます。
そのほか黄体ホルモンは、たんぱく質の合成を促進させたり、平滑筋の収縮を抑えたりする役割もします。
ただし、妊娠がおこらなかった場合は黄体14~16日で機能を失い、黄体ホルモンを分泌しなくなります。
そのあと、妊娠のために用意されていた子宮内膜は不用になり、はがれて子宮から外に流れ出ます。これが月経です。

 

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