尋常性乾癬の漢方療法

尋常性乾癬の漢方療法

漢方医学の考え方

「乾癬」は中国では「銀屑病」と称され、その皮膚症状(痒みがひどい、皮疹が紅い、落屑があるなど)から、多くは「血熱」の状態であると考えられています。

漢方医学は、病名だけでなく、皮膚の症状や体格・体質(「証」と言います)をみて漢方処方を決定します。
その「証」に応じて、血熱、血燥、血於、血虚、気虚の症候を改善することを中心に処方を組み立てていきます。
具体的には、血熱の患者さんには「温清飲」、血燥症には「当帰飲子」、血於症には「桂枝茯苓丸加ヨクイニン」、血虚には「四物湯」などを処方します。

漢方療法について

「乾癬」の原因はいまだ不明で、西洋医学でもその治療には難渋する。
また、その治療も長期にわたるため、治療剤による副作用も少なくない。
しかし、症状・体質を詳しく分析し、的確な「証」診断による漢方療法により、多数の患者さんの皮膚症状を改善、著明改善させることができる。

具体的処方は、黄連解毒湯、温清飲、白虎加人参湯、防風通聖散、桂枝茯苓丸等を患者さんの「証」により使い分ける。
「乾癬」の漢方療法を成功させるためには、皮疹形態と患者さんの症状・体質、「証」を的確に把握・理解して、漢方処方を選択することにより著明改善症例を多数発掘できる。

黄連解毒湯

清熱瀉火・解毒・清熱化湿・止血。
三焦の実火(実熱)の代表処方。

実熱:高熱・顔面紅潮・目の充血・熱感・口渇、口苦・イライラ・不眠など、甚だしければ意識障害・狂躁状態を呈する。
舌質は紅、舌苔は黄~黄膩
※その他熱証、血熱妄行・肝胆湿熱・脾胃湿熱・膀胱湿熱・心火旺・肝胆火旺・胃熱などに用いる。
※燥性を持つため、皮膚病治療に単独で用いません。

温清飲

清熱瀉火・解毒・補血活血・止血。
四物湯+黄連解毒湯=血虚血熱に対する代表処方。

痒み治療に、基本対応薬として用いる。
血虚血熱:皮膚につやがない、目の疲れ・かすみ・乾き、爪がもろい、筋の引きつり(こむら返り)・四肢のしびれ感、月経周期遅延(甚だしければ無月経)・経血の過少などの血虚の証候に、のぼせ・火照り・口渇・イライラ・不眠などの熱証や、鮮紅色の出血(鼻血・不正性器出血・下血)、灼熱感のある暗紅色の発疹(乾燥性)・皮膚炎・口内炎などを生じます。

舌質は紅、舌苔は黄 温清飲のエキス製剤は、四物湯と黄連解毒湯の等量配合です。
「かゆみ」を訴えるのは血熱が高まったとき、温清飲に清熱剤(黄連解毒湯・三黄瀉心湯)を追加します。
かゆみ治療後も温清飲を継続服用すれば(1~2包/日)、再発防止の手当てになります。

五物解毒湯

清熱解毒・活血。
化膿性や掻痒性の皮膚疾患で、小発疹を繰り返すもの。

当帰飲子

補血潤燥・止痒。
四物湯(当帰・川弓・芍薬・地黄)
血虚が原因で起こるかゆみで、皮膚が著しく乾燥し、爪で肌を核と白い筋が残るような場合。
老人性掻痒症と理解されますが、若者にも急増中の病態です。夜間かゆみが悪化。

消風散

疎風・清熱化湿・養血潤燥。
炎症性でかゆみを伴う皮膚に対する代表処方。

風湿熱の皮疹:強いかゆみ(夜間増悪)、局所の発赤と熱感、滲湿液が多いまたは水泡形成、身体の火照・熱感、口渇などが見られる。
舌質は紅、舌苔は微黄。

【2製剤併用での治療の場合(消風散+)】
皮膚の乾燥感が強い場合…+温清飲
かゆみ・熱感が強い場合…+黄連解毒湯
患部がじくじくする場合…+越婢加朮湯

十味敗毒湯

去風化湿・清熱解毒。
炎症や可能傾向のある皮膚の初期に用います。

皮膚化膿症・湿疹・蕁麻疹などで、風湿熱を呈するものに。
華岡青州の創作した処方です。

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