2000年以上も前から知られている古い疾患のひとつである痛風は、栄養豊富な食物を摂っていた人が多く罹患したため、“Disease of Kings”と呼ばれていた時代もあった。
痛風の基礎病態である高尿酸血症の予防・改善には、生活習慣の是正が有用である。
ここでは、食物別、アルコール別のプリン体の含有量を紹介する。
プリン体を多く含む食物には、動物の内臓、魚の干物、乾物などがある。
通風や高尿酸血症患者はプリン体の摂取を制限されるが、プリン体はうま味のあるものに多く含まれるため、低プリン食(=うま味の少ない食物)のみを毎日食べ続けることは難しい。
患者には、高プリン食を極力控え、プリン体の1日の摂取量が400㎎を超えないようにする。
(1)極めて多い(300mg~):鶏レバー、マイワシ干物、白子(イサキ)、あんこう肝(酒蒸)、鰹節、煮干、干し椎茸
(2)多い(200mg~300mg):豚レバー、牛レバー、カツオ、マイワシ、大正エビ、マアジ干物、さんま干物
(3)少ない(50mg~100mg):ウナギ、ワカサギ、豚ロース、豚バラ、牛肩ロース、牛肩バラ、牛タン、マトン、ボンレスハム、プレスハム、ベーコン、ツミレ、ほうれん草、カリフラワー
(4)極めて少ない(~50mg):コンビーフ、魚肉ソーセージ、かまぼこ、焼きちくわ、さつま揚げ、カズノコ、スジコ、ウインナーソーセージ、豆腐、牛肉、チーズ、バター、鶏卵、とうもろこし、じゃがいも、さつまいも、米飯、パン、うどん、そば、果物、キャベツ、トマト、にんじん、大根、白菜、ひじき、わかめ、こんぶ
アルコール飲料は、上記の食品と比べるとプリン体の含有量は少ないが、内因性プリン体分解の亢進と腎における尿酸排泄低下に関係し、血清尿酸値を上昇させる。
特にビールはプリン体を多く含むばかりでなく、エタノール等量で比較すれば他の酒類より高エネルギーであるため、肥満も助長する点に注意が必要である。
血清尿酸値への影響は、日本酒1合、またはビール500ml、またはウイスキー60ml程度より現れると考えられる。