女性の更年期(3)

女性の更年期(3)

不定愁訴(更年期の女性の体に出る不快な症状)

更年期に入った女性の多くは多種多様な不快な症状を訴えます。
女性ホルモンの急激な減少、変化とこれらの症状とは、密接に関連しています。
その他、更年期の女性を取り巻く環境、心の持ち方や生活習慣なども、症状の内容や重度を左右する大きな危険因子となります。
臨床学的検査で、これといって問題になる所見やデータがないけれども、明らかに不快な自覚症状がある、そんな症状を不定愁訴とも呼び、更年期障害の代表的な症状となっています。

もっとも多いのは「ホットフラッシュ」と呼ばれる「顔のほてりやのぼせ」。
1日に数回、かっと顔がほてる。汗がどっとでたり、息切れがしたり。めまいや冷汗、寝汗など、これらは、多くの更年期の女性たちが経験しています。
また、くよくよ考えたり、ゆううつになったり、興奮したり、心理的、社会的なストレスや個人の性格や気質がからみあって、心理面や精神面の不調となって現われることもあります。
症状や程度は、人によって様々ですが、更年期症状をまったく感じない人、多種類の症状が重なって表れ、普通の日常生活が送れない、重度の強い症状がでる人など、いろいろですが、更年期症状は、約80%の女性が経験するといわれています。

特に知っておきたい症状と障害

誰もがその症状や障害を持つわけではありませんが、将来に向けて健康を維持していただくために、女性ホルモンの減少によって起きるからだの変化を理解してください。
いま症状がなくても、病気になってしまってからでは遅すぎます。
高齢期に不自由な生活を強いられることのないよう今から気をつけてください。

骨粗鬆症

骨の形成と吸収のバランスに重要な働きかけをしていた女性ホルモンが、更年期・閉経期に急速に減少してくると、骨粗鬆症の発生は急増してきます。
骨からカルシウムやリンが抜け、スが入ったようにスカスカの状態になり、病状が進むと腰や背中の痛み、だるさを感じます。
特に更年期までに十分な骨量の蓄えがない女性では、閉経後に急激に骨量が減少して骨折の危険性が大きくなります。
なるべく早く骨量の測定を受けて、骨の状態を知っておきましょう。

・骨量の測定結果をもとに、積極的に骨粗鬆症の予防に取り組みましょう。
・カルシウムやビタミンDの多い食品を摂取するのも1つの方法です。
・1日30分、日射しを浴びて歩きましょう。

運動はからだの機能を活発にして、筋肉や骨を丈夫にします。

動脈硬化

女性ホルモンは私たちの血管を若々しく保つことに貢献してきました。
血液中の、いわゆる悪玉コレステロールを低く抑え、善玉コレステロールを増加させたり、また、血管壁が硬く老化することを抑えていました。
閉経後はこうした働きが失われるので、高脂血症や動脈硬化が起きやすい状況になります。
高齢期に入って、狭心症や心筋梗塞、脳血管の障害などの心血管性の疾患が目立って増えてくるのも、更年期以降のからだの変化からきていることを理解しておきたいものです。

脳の加齢変化

ちょうど女性ホルモンが減少期に入る40歳代後半から物忘れや健忘症を訴える頻度が高くなりますが、女性ホルモンの減少が脳細胞の機能や血液量に変化を及ぼし、記憶・認知機能と関わりを持っていることが、最近明らかになっていました。
症状があってもほとんどが正常の範囲ですが、日常生活に支障をきたすような場合、まれにアルツハイマー病の初期が隠れていることもあります。漢方薬、ホルモン補充療法による予防・治療が期待されています。

・規則正しい生活とバランスのとれた食事を心がけましょう。
・からだや脳をいきいきさせるために、運動を生活に取り入れましょう。
・社会活動などに積極的に参加し、生き甲斐を実感しましょう。

性生活のこと

更年期のからだの変化は、パートナーとのセックスに、ちょっとした変化をもたらすかもしれません。
今まで膣は、女性ホルモンの作用で粘膜がなめらかで弾力性に富み、雑菌の侵入が少々あっても自浄作用で、細菌感染を防いでいました。
しかし、いま膣は成熟期とは違った環境に姿を変えようとしています。
閉経に近づくにしたがって、子宮、膣、膀胱、尿道などには、女性ホルモンの低下のために自分でも自覚できる変化が起きています。
たとえば、膣に乾燥感があったり、ひりひりしたり、ただれがでたり、軽い尿失禁を経験したり。
でも、それは、女性ホルモンの分泌低下による影響の1つの現われなのです。

更年期に近づくと、膣は、粘膜が徐々に薄くなり、潤いも少なくなっていきます。
気持ちは十分でも、自然に分泌液が少なくなったりするので、セックスのときの、接触や挿入時に、パートナーや自分自身も、痛みを感じたりして、セックスがつらく、セックスが嫌いになってしまうカップルもでてくるようです。
性的な刺激を受けても、分泌液が不足しがちになってしまう場合もありえるのです。
そんなときは、愛情を持って、パートナーとのコミュニケーションを豊かにして、自分の状態を素直に伝えましょう。
潤いを補う潤滑剤(ゼリー)を用いてみるのも1つの方法かもしれません。
また、性生活全般の悩み、心と体の変化、心身のバランスの乱れを調節する漢方薬、漢方健康相談もよい方法と思います。
妊娠の可能性がなくなって、本当の意味での2人のセックス(愛情)を高めるときです。
セックスを恐れずに、よりよい方法をパートナーと力を合わせて探していきましょう。