「二日酔い」には「五苓散」

「二日酔い」には「五苓散」

二日酔いには、漢方薬・五苓散(ごれいさん)が、すぐ効きます!

漢方専門 大山漢方堂薬局 漢方薬 「五苓散」の速効性を、解説します。

五苓散は体のなかの水分代謝を改善する働きをする漢方薬です。
体にたまっている余分な水分を排出するので、むくみやめまい、吐き気の改善に使われます。
水分代謝を改善する漢方薬は、他にもありますが、五苓散はアルコール代謝改善作用も確認されており、二日酔いに対する効果への関係が指摘されています。
五苓散は、タクシャ(沢瀉)、ソウジュツ(蒼朮)、、チョレイ(猪苓)、ブクリョウ(茯苓)、ケイヒ(桂皮)の五つの生薬で構成されています。

医学がどんなに進歩しても治しにくい症状があります。
命に関わるものではないけれど、じわじわと患者さんを苦しめる、そんな症状は漢方薬が得意とする分野です。

患者のタイプ

中間証(体力中程度の人)

使用目的

口渇、排尿量・回数異常があり、ときに浮腫、悪心、嘔吐、頭痛、めまい、下痢、腹痛、発熱などの症状を伴うもの。
心窩部に振水音を認めることも多い。

適応症

浮腫、ネフローゼ、尿毒症、腎炎、腎盂炎、二日酔い、乗物酔い、悪心、嘔吐、めまい、頭痛、暑気あたり、日射病、胃下垂、偏頭痛、三叉神経痛、メニエール症候群、てんかん、胆石症、急性・慢性肝炎、結膜炎など。

成分内容

沢瀉5.0、蒼朮・猪苓・茯苓各3.0、桂枝2.0

構成生薬

沢瀉4、白朮3、茯苓3、桂皮1.5。(単位g)

臨床応用

急性胃腸炎・周期性嘔吐症・仮性コレラ・クインケ浮腫・寒冷じんましん・急性腎炎の初期・陰のう水腫などで、水湿を呈するもの。
あるいは肝硬変の腹水・ネフローゼ症候群・慢性腎炎などの水腫に対して補助的に用いる。

使用上の注意

1)五苓散(ごれいさん)《傷寒論》は脱水には禁忌である。
2)熱証を呈するものには適さない。
3)気虚・陽虚による痰飲には適切な配慮が必要である。

出典 『傷寒論』、 『金匱要略』

1)脈浮、小便不利、微熱、消渇の証。(『傷寒論』太陽病中篇)
2)中風、発熱し、解せずして煩し、表裏の証あり、水逆を発する証。(同上)
3)霍乱(吐瀉病)、頭痛、発熱し、身疼痛し、熱多くして水を飲まんと欲する証。(霍乱病篇)

口訣

五苓散(ごれいさん)《傷寒論》は、もと五味猪苓散と称す。後世之を省略し、五苓散と呼ぶに至れりという。(奥田謙藏)
五苓散(ごれいさん)《傷寒論》を多数例の頭痛に適用して効果を確認したが、慢性頭痛ということであれば症例を選ばず用いてよく、なかでも女性に効きがよいという印象である。(矢数道明)

適応となる病名・病態 効能・効果

口渇、尿量減少するものの次の諸症:
浮腫、ネフローゼ、二日酔い、急性胃腸カタル、下痢、悪心、嘔吐、めまい、胃内停水、頭痛、尿毒症、暑気あたり、糖尿病。

漢方医学的適応病態

1)水湿野表証(太陽病蓄水証)。すなわち、悪風、微熱、尿量減少、口渇するが飲むとすぐに嘔吐するなどの症候。
2)水湿による水様物の嘔吐あるいは浮腫あるいは水様の下痢などで、尿量減少、口渇を伴い、めまい感、腹部の動悸、身体が重いなどの症状がみられることがある。

大山漢方堂薬局 厳選漢方薬:五苓散(ごれいさん)は、表に邪熱があって、裏に停水のあるものを治す効があり、口渇と尿利の減少を目標にして、諸種の疾患に用いられる。
また、水逆の嘔吐も、本方の目標である。水逆の嘔吐は、口渇と尿利の減少があって、水をのむとすぐに吐出し、また水をのみ、また水を吐くというものをいう。
熱のある場合では脈が浮数となり、汗は出ない。
五苓散をのむと、尿利がつき、発汗して解熱する。
水逆の嘔吐も、五苓散をのむと嘔吐がやみ、尿が出るようになる。
本方の沢瀉、猪苓、茯苓、朮は何れも体液の調整剤で、胃腸内の停水を去り、尿利をよくして浮腫を去る。
沢瀉、猪苓は口渇を治し、茯苓とともに鎮静の効があり、桂枝は表熱を去り、気の上衝を治し、他薬の尿利の効を助ける。
本方は感冒その他の熱のある病気で、口渇、尿利の減少のあるもの、ネフローゼ、腎炎、心臓病、急性胃腸炎、陰嚢水腫、クインケの浮腫などに用いられる。

適応症

1)水湿の表証(太陽病蓄水証):悪風・微熱・尿量減少・口渇するが飲むとすぐに嘔吐するなどの症候で、舌苔は白・脈は浮滑。
2)水湿による水様物の嘔吐あるいは浮腫あるいは水様の下痢などで、尿量減少・口渇をともない、目まい感・腹部の動悸・身体が重いなどの症状がみられることもある。舌苔は白滑あるいは白膩・脈は滑。

処方解説

本方は水湿による尿量減少・口渇に対する代表処方である。
利水の茯苓・猪苓・沢瀉・白朮と、通陽の桂枝で構成されている。
「水湿」とは、水分の排泄あるいは吸収の障害による一連の症候である。
嘔吐は、主に胃の吸収障害による溜飲の存在(腹壁をたたくとジャブジャブと音を発することでわかり、これを「振水音」という)によっておこり、胃内圧が高まると水様物を吐すのであるが、一般に悪心をともなうことが少ない。
これを「水逆」の嘔吐ともいう。水様の下痢は、腸管での吸収障害によって発生し、腹痛・裏急後重などをともなうことは少ない。

浮腫は、腎臓での排泄障害や血液量増大にともなう等張性のもの。
あるいは血管運動神経性と考えられる。この場合には動悸・目まい感・身体が重いなどの症候をともなう。
なお重要なことは口渇と尿量減少で、これは脱水によるものではなく水分の偏在と考えるとよい。
すなわち、口渇と尿量減少があるにかかわらず、胃内に溜飲がみとめられたり腸で水様のグル音が発生したりすることから、体内には水分が過剰に存在しながら、吸収障害により有効な血中成分として機能系にとりこまれていないものと推定できる。
以上のように、同じ水湿であってもさまざまな病理変化が混在しているのである。

「蓄水証」については、ふだんから水湿の症候をもっているものが感冒に罹患し、発熱反応とともに胃腸の機能失調がおこり、水湿の症候が表面化するものと考えられる。
淡滲利水の茯苓・白朮・沢瀉・猪苓は、いずれも利尿作用をもち、猪苓・沢瀉・白朮は水分・Na・K・Cl・尿素などの排出を増し、尿細管の再吸収を抑制するとされている。
茯苓は鎮静作用をもち、正常の状態では余り利尿効果はない。

臨床的な観察から、白朮・茯苓などは浮腫や溜飲をのぞいたり下痢を止める効果があり、結果的に利尿を示すところから、何らかの作用機序によって消化管や組織の過剰水分を血中にひきこみ、これを腎臓に送ることによって尿量を増大させるものと考えられる。
なお、白朮・茯苓は、栄養分をふくみ消化吸収を高める作用があるため、補脾薬として用いられ、脾虚が原因で生じる水腫・痰飲・下痢などには必ず配合される。
一方、猪苓・沢瀉は、主に尿細管での再吸収を抑制してやや積極的な利尿作用をもつが、正常な水分を排泄するほど強力な利尿剤とは認めがたい面がある。
桂枝には軽度の利尿作用があるが、主に血管を拡張して血行を促進しかつ吸収を高めることによって、利水薬の効果をつよめる(これを「通陽」と呼ぶ)。また感冒の初期には、体表血管を拡張して発汗させ解熱する。
以上のように、本方は主として消化管や組織の余剰の水分を血中にひきこむことによって利尿し、同時に口渇・下痢・浮腫・溜飲などを緩解するものである。
それゆえ、脱水には用いるべきではない。
ただし、暑中での発汗過多や二日酔いなどでみられる軽度の脱水症状で、はげしい口渇があり水を多量に飲むにかかわらず腹が脹って口渇が癒えない状況は、やはり吸収障害が関与しており、本方を服用することにより水分が有効に血中に入って症状の緩解が得られるので応用するとよい。
悪風・微熱などの表証がないときには、桂枝をのぞいてよい(四苓散《明医指掌》)。
表証とともに浮腫がみられる風水証には、麻黄・石膏などを配合するほか越脾湯と併用する。
食欲不振・疲労感・元気がないなどの気虚の症候をともなうときは、白朮を増量し黄耆を加える。
冷え・寒けがつよいときには、桂枝を肉桂にかえ乾姜・附子などを配合する。
あるいは真武湯・実脾飲などに変方する。

使用経験

瀧野一雄著『新撰類聚方』増補改訂版より
1)感冒・流感・急性腸カタル、消化不良、コレラ・コレラ様吐瀉・小児吐乳等で発熱、下痢、嘔吐、煩渇、利尿減少するもの。
2)胃拡張・胃アトニー・胃下垂・溜飲症・胃液分泌過多症、幽門狭窄等で口渇、嘔吐、胃部振水音、心下部がつかえ小便不利するもの。
3)虚証の黄痘に使った例がある。
4)糖尿病で煩渇小便不利するもの。
5)腎炎・ネフローゼ・膀胱炎・尿毒症・尿閉・心臓不全等で、浮腫、小便不利、煩渇、或いは発熱頭痛、脳症を伴うもの。
6)てんかん・メニエール氏症候群・日射病・脳水腫等でめまい、昏倒、煩渇小便不利、腹動、口からあぶくを出す等があるもの。
7)夜尿症で煩渇するもの、咳をすると小便が漏れるものに使った例がある。
8)結膜炎・角膜フリクテン・角膜潰瘍・斜視などの眼病で、羞明、充血、閃視飛蚊症等があり、煩渇、小便不利等のもの。
9)禿頭・脱毛で肛門また陰部に瘡を生ずるもの、或いは子宮出血後に起こったものに使った例がある。

使用上の注意

1)五苓散(ごれいさん)《傷寒論》は脱水には禁忌である。
2)熱証を呈するものには適さない。
3)気虚・陽虚による痰飲には適切な配慮が必要である。

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