脳科学の研究が進歩し、少しずつ脳と心の関係がわかってきました。
心の症状が現れるメカニズムも、徐々に解明されつつあります。
ただし、これは、あくまでも症状が現れる「メカニズム」であり、病気の原因ではありません。
心の病気を、単なる「脳の異常」と解釈することはできません。
脳の最も下に位置し、人の意識、呼吸や血液循環、体温調節など、人間が生きていくための基礎の働きをしている、下から延髄、橋、中脳の順に形成され、最上部に視床があり、そのすぐ下に視床下部がある。
中脳は、歩行をコントロールしたり、気分をコントロールする神経の発生地点を兼ねている。
視床下部は、食欲、性欲といった本能的な欲望を発生させる中枢。
ここに、体内時計があり、昼夜の睡眠、覚醒のリズムを形づくっている。
大脳の下に位置し、運動の中枢や操作、記憶の場となる。
脳のほぼ中央に位置し、感情や記憶が生まれる中枢。
怒り、悲しみ、恐怖などの情動と密接に関係する部位。
記憶の形成や保持に重要な働きをする海馬、その先端に、情動の中心的な役割を担う偏桃体がある。
あまりに強い刺激(驚愕、恐怖体験など)を受けると、偏桃体が電気のブレーカーのような役目をして、それを海馬に伝えないようにする。
こうした強い体験の後、その出来事を忘れてしまうことがあるのは、これが原因。
海馬における記憶の保存期間は2年程度で、それ以上の長期記憶は、大脳新皮質で行われる。
前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉という4つの「葉」から構成される。
前頭葉は、人格、意欲、創造性などをにない、側頭葉と、ともに耳から入った刺激から言葉を理解したり、長期の記憶を保存する。
前頭葉と後頭葉は、視覚情報の蓄積や認知をする。
脳の右側(右半球)は、直感力や感受性を支配し、左側(左半球)は、言語理解、計算、分析力を支配しているといわれている。
各部位によって特定の役割があるが、これらは独立して機能してるわけではない。