「非結核性抗酸菌症」と東洋医学(漢方薬・鍼灸・経絡ツボ療法)

「非結核性抗酸菌症」と東洋医学(漢方薬・鍼灸・経絡ツボ療法)

非結核性抗酸菌症とは

最近、「非結核性抗酸菌症」と診断される方がとても増えている。

「非結核性抗酸菌症」とは、結核菌以外の抗酸菌が肺に感染して起こる病気です。
非結核性抗酸菌は土や水などの環境中にいる菌で、結核菌とは異なり人から人には感染しません。

菌の種類は150種類以上ありますが、非結核性肺抗酸菌症の80%がマック菌で、次に多いカンサシ菌が10%です。
女性にやや多く、年間約8,000人が発症します。
肺結核が年々減少しているのに対して非結核性肺抗酸菌症は増加しています。
主に浴室や土を扱う作業で空気中にただよう非結核性抗酸菌を吸い込むことにより感染すると考えられています。
多くは数年から10年以上かけてゆっくりと進行します。
症状がなく、検診の胸部エックス線検査などで発見されることもしばしばあります。
せき、たん、血たん、だるさ、発熱、寝汗、体重減少などが出ることもあります。
胸部エックス線検査、胸部CT検査で特徴的な影を見つけます。
たんを調べ、培養で菌があれば診断になりますが、結果が出るまでに6週間程度かかることがあります。
たんから2回以上同じ菌が出ることが診断に必要です。
たんが出ない場合は気管支鏡検査を行い、検体の培養を行います。

非結核性肺抗酸菌症のうちマック菌が原因と診断されて、症状や肺の影が悪化してくる場合には薬による治療を行います。
クラリスロマイシンと抗結核薬2種類を毎日内服し、少なくとも1年半(菌が培養されなくなってから1年間)続ける必要があります。
服薬は長期間になりますが毎日忘れずにします。
肺結核と異なり人から人へは感染しませんので、社会生活は特に制限ありません。
菌が完全に消えることはまれであり、治療終了後も再発しないか定期的に胸部エックス線検査をします。
再発すれば治療を再開します。

大山漢方堂薬局での取り組み

大山漢方堂薬局では、調合漢方薬(生薬調合:オーダーメイド)をご服用後、悩んでいた「非結核性抗酸菌症」が、「良くなってきている」と病院で、お褒めいただいたお客様がいます。
このお客様は、以前から、精神神経疾患(自律神経の問題)で、ご相談いただき漢方をご服用中でした。
その患者さんが、約1年前、病院で、「非結核性抗酸菌症」と診断され、治療マニュアル通りの西洋薬(新薬)が処方され、用法・用量を良く守り、4週間ほど、指示通りに服用していました。
しかし、なぜか、症状は、一向に改善せず、薬を飲むと、逆に体調が悪くなり、あまり飲みたくない、改善が見られず、体調が悪くなるので、飲み続けることができない。
漢方で何とかなりませんか、というご相談でした。
詳しく話をうかがうと、平成23年、市の肺がん検診で異常が見つかり、精密検査となり、その結果、「非結核性抗酸菌症」と診断されました。
症状は軽く、大したことはないので、その時は薬も処方されませんでした。
その後は、定期的に検査を受け「経過観察」でした。
数年後、菌の数が増えてきたために、9種類の薬が処方されました。
この方は胃腸が弱く、処方箋通り、9種類の薬を服用すると、副作用等で、体調が悪くなり、気持ちが悪くなり、1ヶ月も続けることができませんでした。
そのことを、担当医に告げると、それでは、今度は、もっとゆるいお薬を、出しましょう、ということで別の薬1種類を変更後、ご服用なさいました。
が、やはり、副作用等で、気持ちが悪くなり、体調がすぐれず、ご服用を中止せざるを得ませんでした。
そして、「非結核性抗酸菌症」について、大山漢方堂薬局に、ご相談いただいたのが約1年前です。
昨年の2月から、調合漢方薬(生薬調合:オーダーメイド)を、ご服用いただきました。
そして半年後の検査で、肺の影が少し薄くなり良くなってきていると診断されました。 
本人もとても喜んでいました。
現在も、調合漢方薬(生薬調合:オーダーメイド)を継続服用中です。

そして、同じく、「非結核性抗酸菌症」で悩んでいる83歳の女性から、嬉しい報告をいただきました。
この方は2年前に非結核性抗酸菌症と診断され、その後入院。
去年の暮れに退院なさった後、大山漢方堂薬局のホームページを見たご家族からお電話いただきました。
そして、調合漢方薬を、4月から飲み始められました。
その時3ヶ月飲んで様子を見るとおっしゃっていましたが、7月にレントゲンを撮ると、以前あった肺の空洞がなくなり良くなってきている。ということでした。
悪化しているに違いないと思っていた担当医は、とても驚いていたそうです。
調合漢方薬(生薬調合:オーダーメイド)の1日の服用量を、もう少し減らしても大丈夫でしょうとお伝えしました。
もちろん経過観察で、悪化していた場合は、また増量しますが、状態が良ければ、服用量を減らすことも可能です。
肺免疫(抗菌活性)の良い状態を維持する、落とさないようにするために、毎日、欠かさず、漢方をご服用することが重要です。
と伝えると、ご本人も、大山先生の漢方薬(生薬調合)を、飲んでいると、毎日が安心して暮らしていける。
これだけは、やめられない、できれば、その時、その時の、自分に一番合った漢方薬を、調合していただき、漢方は、一生飲みたい、とおっしゃっているそうです。

菌について

結核の原因である結核菌の仲間を、抗酸菌こうさんきんといいます。
そして結核菌以外の抗酸菌(非結核性抗酸菌)で引き起こされる病気を非結核性抗酸菌症といいます。
非結核性抗酸菌症のことを、別名「非定型抗酸菌症」ともいいます。

非結核性抗酸菌は、自然界に存在するありふれた菌です。
日本で最も多いのはMAC菌(マイコバクテリウム・アビウム・イントラセルラーレ)で、全体の約80%を占めています。
そしてMAC菌が原因で引き起こされる肺の病気を肺MAC症といいます。
非結核性抗酸菌症は、以前は殆ど発見されませんでした。
でも最近の診断技術の進歩と、2008年に肺MAC症の診断基準が緩やかになったために、人間ドッグや肺がん検診で、多くの人が非結核性抗酸菌症と診断されるようになりました。

結核との違い

結核との大きな違いは、ヒトからヒトへ感染(伝染)しないこと、病気の進行がゆっくりであること、そして結核の薬である抗結核薬があまり効かないことです。
結核の減少とは逆に、中高年の女性を中心に発病する人が急増しています。
確実に有効な薬がないため、患者さんの数が増え、進行する例も多くなってきています。
初期は無症状ですが、進行すると痰や咳が続きます。
HIVに感染した人や化学療法剤の治療を受けている人などは体全体の免疫が低下するために非結核性抗酸菌症を発症しやすいと言われます。
こういった方は、当然肺の免疫(抗菌活性)も弱っているでしょう。
非結核性抗酸菌が自然界に存在するありふれた菌であること、進行がゆっくりであること、免疫が低下すると発症しやすいことから、非結核性抗酸菌症を治す時に重要なのは菌をたたく(殺す)ことよりも、肺を元気にして肺の免疫力を高めることではないかと思います。
非結核性抗酸菌症を発症する人は、たとえご本人に自覚がなかったとしても、肺が弱っているのではないかと思うからです。

肺を強くする

例えば花粉症も、漢方では肺の病気と考えます。
花粉に毒性があるわけではありませんが肺が弱い人は粘膜が弱くなる傾向があり、花粉に過敏に反応しやすいです。
そのため漢方で肺と粘膜を強くすることは花粉症の根本治療となります。
その結果、花粉症が改善した人がたくさんいらっしゃいます。
気管支喘息も同様です。
西洋医学での非結核性抗酸菌症の治療は、結核と似た治療を行います。
簡単に言うと、何種類もの薬を使って菌をたたく治療です。
代表的な治療薬はクラリスロマイシン(CAM)とエタンブトール(EB)で、この2種類の薬に、リファンピシン(RFP)などを加えて治療を行ないます。
エタンブトール製剤(エサンブトール、エブトール)は視力障害の副作用がありますので、目の調子がおかしくなった時はすぐに専門医を受診なさってください。
ただこの治療方法の結果は、あまりよくありません。
改善率はよくても50%以下です。
治療後 再発する例もあり、全体的な有効例は約3分の1です。
副作用が出る確率も3分の1程度あります。
確実な治療法がないので、患者さんの数が増え進行する例も増えてきています。
最初にご紹介した方のように、漢方で肺の免疫(抗菌活性)を高めれば非結核性抗酸菌症の悪化を防ぎ改善するのは可能ではないかと考えます。
もちろん、病院の薬との併用も可能ですし、カプセルや錠剤で飲むのも簡単ですので、ぜひお試しください。

 

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