一種類の生薬を酒に漬けたものを単方といいます。
効きめが比較的シャープなので、単純な症状で効果を一点に絞りたいときに用いることが多く、短期間で早く効果が現れます。
二種類以上の生薬を漬けたものは複方といいます。
複数の生薬で全身のバランスをよくしていくものが多く、症状が複雑で慢性的、体質的な傾向をもつものに向いています。
長期的にじっくり効果を現します。
また、薬酒の場合、漬ける生薬の量が多かったり、飲む分量が多いほうが効きめがあるような気がするかもしれませんが、成分が多様で作用がシャープですから濃厚なものはかえってよくありません。
作り方はどんな薬酒もほとんど同じで、生薬は刻んだもののほうが早く成分が浸出し、10日前後で飲めるようになります。
高麗人参など、大きいまま入れた場合は20日以上浸出させてから飲み始めます。
一か月寝かせるのは、熟成させてよりおいしくするためです。
また、甘味料は最初に入れると浸出が遅くなるので10日以上経った後に加えます。
①生薬は、成分浸出が早い刻んだものを求めます。漬ける前に生薬を紙に広げて、異物や虫食いのものは取り除きます。
②よく洗った広口びんに①の生薬を入れ、ホワイトリカーを注ぎます。ふたをして軽く揺すり、生薬をなじませます。
③日の当たらない涼しい場所に保管します。最初の4~5日は1日1回液を軽く揺すり、浸出を促します。
④10日後にふたを開け、熟成させるために生薬の1~2割を残して他はスプーンなどで引き上げます。
⑤生薬を引き上げたら、甘味料を加え、よく溶かして再び元の場所へ保管し、1か月寝かします。
⑥1か月後、上澄みを別の保存びんに移し、沈殿している残りかすは口ざわりがよくないのでコーヒーフィルターでこします。
(注意)でき上がった薬酒は家庭で飲むためのもので、売買は法律で禁じられています。
アルコールを大量に飲み続けるのが体によくないことは周知のとおりです。
薬酒も同じアルコールですから、適量を守ってこそ絶大な効果があります。
標準は一日40~100ミリリットル。
これを2~3回に分けて食前か、食間(食事の2~3時間後)に飲みます。
薬酒は本来、味よりも効能本位に作られたものなので、味よりも効能本位に作られたものなので、味のよいものばかりではありません。
しかし、毎日続けて飲むものですから、おいしいに越したことはありません。
いちばん簡単な方法は甘味料を入れること。
グラニュー糖のほかに、はちみつなどを入れるようになっていますが、これも生薬の味に合うものを選んであります。
好みですが、基本的には刺激的な味にはまろやかな甘みを加えるとよいでしょう。
ほかに、漬け込み用のホワイトリカーの代わりに香りのあるブランデーを使ったり、また飲むときにワイン、リキュール、ジュースなどをくわえるのも一法です。
生薬をホワイトリカーに漬けて一か月で飲めます。