鹿角霊芝(ろっかくれいし)

鹿角霊芝(ろっかくれいし)

鹿角霊芝の原体

霊芝(万年茸)の若芽(滋補強壮解毒消腫整心)

霊芝(レイシ)とは

霊芝は北半球の温帯に分布し、広葉樹の根元や切り株に生えるサルノコシカケ科マンネンタケ属の子実体(きのこ)である。
生える場所や宿主、あるいは収穫時期によって傘の色や形状が異なり、一般的に傘は腎臓形から半円、稀に円形をしている。
表面は黒・赤褐色から暗紫色で漆様の光沢があり、裏面は白色から黄褐色である。
柄は傘の片側に垂直に付いており、一般に傘の直径よりも長く、黒色で光沢がある。
夏から秋にその子実体を採取し乾燥させたものを生薬として用いるが、何年も経て成長するところから縁起が良いものとされ、磨くとさらに光沢が増すことから、床の間の飾りや“のし”としても利用されることがある。

霊視は、《神農本草経》の上品に収穫されており、古来より人参と共に最も貴重な霊薬として考えられてきた。
本草中では、赤芝、黒芝、青芝、白芝、黄芝、紫芝の六芝に区別され収穫されているが全て原植物が異なるわけではなく、系統、生育条件などによって生じた色の違いによるものである。
芝のうち紫芝以外は五行説に基づいて赤、黒、青、白、黄の五色を付し、それぞれ苦、鹹、酸、辛、甘の五味を配し、それに対応する五臓すなわち心、腎、肝、肺、脾の気を益する薬効を充てられている。
六芝いずれも「久しく食すれば身を軽くし、老いず、天年を延べ、神仙となる」を記されているが、一般的に紫芝と赤芝が霊芝と称され、用いられている。

現在は、天然物の減少や資源の保存の観点から人工栽培が行われるようになり、露地栽培やハウス栽培で良質の霊芝が得られるになった。
大量生産が可能になったことから、現代医学的な利用も盛んに行われるようになり、特に高い抗腫瘍作用及び免疫賦活作用を示すことから抗癌薬としての用途も開発されつつある。
に、高血圧症、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病や、アレルギー疾患などへの利用に大変注目されている生薬の一つである。

霊芝(レイシ)の基原

サルノコシカケ科(Polyporaceae)のマンネンタケGanoderma lucidum(Fr.)Karst.およびその近縁種の子実体を乾燥したもの。
マンネンタケ属は数多く存在するため、霊芝として用いる植物の区別は各種の説があり、国や地域によって多少の違いがある。
中国では、マンネンタケによく似たキノコのマゴシャクシGanoderma japonicum(Fr.)Lloydを紫芝、マンネンタケを赤芝に充て、霊芝として用いている。

霊芝(レイシ)の薬能

1.性味 
赤芝:味は苦、性は平
紫芝:味は甘、性は平

2.主治
衰弱疲労、咳嗽、呼吸困難、不眠、消化不良を治す。

霊芝(レイシ)に関する記述

《神農本草経》
赤芝:胸中の結するものを治す、心気を益す、中を補う、智慧を増す、忘れなくする。
紫芝:耳聾を主る、関節を利す、神を保つ、精気を益す、筋骨を堅くする、顔色を好くする。
《陶弘景》痔を療す。
《本草網目》虚弱疲労を療す。
《中国薬植図鑑》神経衰弱、不眠、消化不良などの慢性疾患を治す。
《霊芝》長年の慢性気管支炎による咳嗽、呼吸困難を治す。

霊芝(レイシ)の成分

苦味成分であるトリテルペノイド( ganodericacid,ganolucidic acid,lucidenic acid,lucidone など)や、
抗腫瘍作用を示すβーD-gulukanをはじめとする多糖類、
血糖降下作用を持つ ganoderan A,B,C,
血圧降下作用を有する ペプチドグリカン などが含まれる。
他に、ergosterolやmannitol,adenosine,
脂肪酸(palmitic acid,linolenic acid,oleic acidなど)、
アミノ酸(Asp,Thr,Ser,Gln,Pro,Val,Cys,Leu,Lysなど)や、
無機成分のGeなどを含む。

霊芝(レイシ)薬理

抗腫瘍作用(抗がん作用)

霊芝に含まれる多糖体(βーD-gulucanなど)に、免疫賦活に基づく抗腫瘍作用が認められた。
また、霊芝の培養菌糸体由来の成分として分離されているトリテルペノイド類には、肝癌に対して細胞毒性に基づく制癌作用が報告されている。
一方、霊芝に含まれる無機成分としてのGeは、抗腫瘍作用を促進する働きがあることが知られており、その作用機序として、インターフェロン誘発に基づく発癌抑制作用が考えられている。

循環器系に対する作用

霊芝には降圧成分と昇圧成分が存在すると推定されている。
麻酔したイヌに静脈内投与すると降圧した後に昇圧する二相性の作用を示したが、麻酔したウサギおよびイヌに腹腔内投与すると降圧作用を示した。
臨床では、霊芝の単独投与または降圧剤との併用で、血圧の安定化、特に拡張期血圧の降下作用が認められた。
また、本態性高血圧症患者に対する有効性も報告されている。
血圧降下作用を示す成分としてペプチドグリカンが報告されており、また、血圧上昇に関与しているアンジオテンシン変換酵素に対する阻害活性が、トリテルペノイド成分から見出されている。

その他の作用

霊芝のエタノールエキスおよび水製エキスをマウスの腹腔内に投与すると、中枢神経抑制、鎮咳、虚淡作用を示した。
四塩化炭素による実験的肝障害マウスに、エタノールエキス10g/kgを連続8日間投与すると、肝障害の症状を軽減し、肝保護作用が認められた。
高脂血症SHRラットに霊芝を投与したところ、中性脂肪、βーリポ蛋白、血清コレステロールの低下が認められた。
また、脂肪細胞におけるACTHによる脂肪酸の遊離作用に拮抗することも報告されている。
他に、強心、利尿、血糖降下、抗炎症、抗菌などの薬理作用を示すことが明らかになっている。
苦味成分のトリテルペノイド類が、抗アレルギー、抗男性ホルモンなどの作用を示すとの報告もある。

臨床応用

強壮、鎮静薬として神経衰弱症、不眠症、消化不良、気管支炎などの慢性病に用いられる。
また、高血圧症、高脂血症、狭心症、不整脈、肝炎、消化性潰瘍、糖尿病などや、各種癌にも応用される。
粉末やエキス、あるいは薬酒として単味で用いるほか、他の素材と組み合わせた健康食品やドリンク剤が各種市販されている。

使用量

単味では、15~20gを0.5~1.0cm角に刻んで煎じたものを1日3回に分けて服用するか、1.5~3.0gほどを末としてそのまま、または水に溶かして服用する。
焼酎やホワイトリカーなどの酒に漬け、薬酒として服用してもよい。
他に、料理の中に混ぜて薬膳的に用いる方法もある。
また中国では、多くは単味で末、あるいは液剤、エキス錠、注射剤などに応用されている。

処方例

霊芝丸《聖済総録》
(霊芝、山芋、天雄、柏子仁、巴戟天、白茯苓、枳実、生地黄、麦門冬、五味子、半夏、附子、牡丹皮、人参、遠志、蓼実、瓜子仁、沢瀉)

臨床応用

癌の患者さんに用いられることが多い。
「癌」            「併用処方」
1 末期進行癌       田七人参、ローヤルゼリー、半枝蓮など
2 末期肺癌        十全大補湯、桃核承気湯、田七人参
3 食道癌          十全大補湯、田七人参など
4 末期癌(癌性腹膜炎) 雲南白薬

1.佐藤昭彦 他;日本東洋医学雑誌、34(4)、97(1984)
2.小川幸男;漢方の臨床、43(6)、1107(1996)
3.松本一男;漢方の臨床、42(2)、205(1995)
4.横内正典他;和漢医薬学会誌、2(1)、174(1985)

その他
「疾病」           「併用処方」
5 本態性高血圧
6 慢性肝炎
7 カポジ様水痘疹
8 口唇ヘルペス、性器ヘルペス  梅寄生、よく苡仁など
9 帯状疱疹 
10 下痢                茯苓四逆湯
11 易疲労              麻黄附子細辛湯、甘草
12 めまい               沢瀉湯

5.上松瀬勝男 他;薬学雑誌、105(10)、942(1985)
6.汪瑤君 他;中医臨床、1(2)、73(1980)
7.塚本祐壮 他;和漢医薬学会大会要旨集、14、38(1997)
8.土方康世 他;和漢医薬学会大会要旨集、14、36(1997)
9.土方康世 他;和漢医薬学会大会要旨集 13、50(1996)
10.中村謙介;漢方の臨床、30(6)、354(1983)
11.中村謙介;漢方の臨床、32(7)、483(1985)
12.緒方玄芳;漢方の臨床、33(9)、591(1989)

TOPIC

サルノコシカケ科は真菌植物門担子菌亜門菌蕈類ヒダナシタケ目の植物で、35属に分類されており、マンネンタケ(霊芝)以外にも、
チョレイ(猪苓)、マツホド(茯苓)、カワラタケ、サルノコシカケ、マイタケなど、薬用に用いられるキノコが多く属している。
これらの抽出液から得られた多糖類のβーD-gulucanに強い抗腫瘍作用が認められ、
他にハラタケ科のアガリクス茸もβーD-glucanを多く含むキノコとして大変注目されている。

<主な参考図書>
中薬大辞典第4巻、小学館(1985)
原色牧野和漢薬薬草大圖鑑、北隆館(1988)
難波恒雄;和漢薬百科図鑑〔Ⅱ〕、保育士(1993)
中田貴久子 他;これでわかる薬用植物、新星図書出版(1991)
水野卓 他;キノコの化学・生化学、学会出版センター(1995)
ヒキノヒロシ;漢方医学、10(6)、26(1986)

 

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