がん予防には、日常の生活習慣がとても大切です。
なかでも毎日の食生活が予防策の中で大きなウェイトを占め、バランスのとれた食事ががんを寄せつけないようボディーガードの役目を果たしているのです。
私たちが毎日食べている食品には、がんをひき起こす物質と発がんを抑える物質の両面があります。
がんの予防のためには、発がん性物質と発がん抑制物質の両方を多種類の食品から摂取し、食物中の発がん物質の作用を相殺していくことが効果的といわれています。
コンビニエンスストアやスーパーなどでは調理済みの食品が出回っていますが、これらの食品の中には材料の種類も限られているものもあり、がん予防のみならず、栄養面でのバランスもよくありません。
また現代人の食生活は野菜不足になりがちですが、発がん抑制物質が多く含まれている野菜は、毎食必ずとってバランスのとれた食生活を送りましょう。
西欧諸国と比較すると日本人の胃がんになる確率はかなり高く、中でも漬物などをよく食べ、食塩摂取量の多い秋田、山形、新潟など東北地方に多く発生していることがわかっています。
これは、食塩濃度が高いと胃の粘膜が傷つけられ、その結果、胃がんの発生を促していると考えられています。
わが国の伝統食である和食は、低脂肪のヘルシーメニューですが、漬物や干物、みそ汁など食塩量が多くなりがちで、平均で、13g以上は摂取しています。
厚生労働省提唱の健康づくり運動である「健康日本21」では、1日の摂取限度量を10g未満としていますが、近年アメリカで発表された「がん予防15か条」では1日6g以下とされています。
食塩のとり過ぎは高血圧にも関係します。
意識して減塩しましょう。
食塩のとり過ぎは胃がんの原因となるので、薄味にするか、酢やコショウなどを使って味付けの工夫をするといいでしょう。
もともと塩蔵魚や漬物は保存のきく食品としての役割が強かったわけですが、現在は冷蔵庫の普及により新鮮な食品をとることが可能ですから、高塩分食品の摂取を控えることができるようになりました。
食物繊維の魅力はなんといっても腸内の発がん物質を排出してくれるところにあります。
最近は食物繊維の含まれた加工食品をよく見かけますが、それらに頼るのではなく、毎日、野菜や海藻をたっぷり食べましょう。
食物繊維は、体内で消化されずに、大腸内の発がん物質の影響を薄める作用と、便と共に排泄するはたらきを持ち、がんの予防になくてはならない存在です。
便秘などで、腸の中に便が長時間とどまると、腸壁はより長く便中の有害物質にさらされます。
また、水分が腸で吸収され有害物質が高濃度になると、さらに腸壁を傷つけることになります。
予防のためには、たくさんの種類の食物繊維を様々な食品からとることが大切です。
【ひじきを混ぜて食卓に繊維をプラス】
ひじきには食物繊維のほかにも鉄分やカルシウムが豊富で、おまけにエネルギーはゼロです。
ひじき入り卵焼き、ひじきのパスタ、ひじきごはん、中華風ドレッシングときゅうりやにんじんと一緒に、中華風サラダ、チーズとパンと一緒に焼いてひじきトーストなどもよい。
【乾物類に含まれている食物繊維】
野菜、きのこ、海藻などの乾物は水分が少なくて繊維量は豊富。
その上、水に浸して戻すだけで調理でき、今までのメニューにプラスできるのでお手軽です。
アイデア次第でバリエーションもグンと広がるので、各家庭でオリジナルレシピを作るのも良いです。
がん予防に関係するビタミンは、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、です。
がん予防として、この3種類のビタミンを、毎日の食卓にあげましょう。
粘膜などを保護し有害物質に耐え、消化器系を守る作用もあります。
ただし、過剰摂取すると、肝臓に蓄積されるので、気をつけましょう。
肺がん、膀胱がん、喉頭がん、胃がんの予防に役立つといわれています。
ビタミンAやカロチンを多く含む食品
にんじん、ほうれん草、小松菜、春菊、にら、レバー、うなぎ、バター、チーズ
パセリやピーマンなど様々な野菜、果実類に含まれるビタミンCは、インターフェロンのはたらきを高めて免疫の力を強める効果があり、さらに発がん物質がつくられるのを抑制します。
だたしとりすぎると、腎結石になる場合があるので、1日1g程度にとどめましょう。
ビタミンCを多く含む食品
パセリ、ブロッコリー、ピーマン、高菜、ほうれん草、いちご、キウイ、柿、レモン
油に溶けやすく、がん化を促す過酸化脂質の生成を抑え、正常な細胞が減らないような作用があります。
さらにビタミンA、Cの酸化を防ぐ効果もあり、酸化防止の作用によってたくさんの酸素を供給して体の耐久力も増加します。
ビタミンEを多く含む食品
玄米、落花生、大豆、ごま油、えんどう、いわし、アーモンド、うなぎ、卵
私たちが生きていくために必要な酸素は物質を「酸化」させるはたらきを持っています。
この「酸化」を抑えるはたらきを「抗酸化作用」といい、がん予防、そして老化を防ぐのに役立つ作用として注目を集めています。
私たちの体に生じる活性酸素は、正常細胞をがん細胞に変えるなど、様々な悪さをすることが分かっています。
活性酸素(O3)は酸素(O2)より酸素が余分な文、他の物質をより酸化(サビ)させやすく、有害物質にしたり、傷つけたりするのです。
この活性酸素の余分な酸素をとり除き、活性酸素を無害化するすぐれものの食品が「抗酸化食品」です。
とくに野菜や果物はすぐれた抗酸化食品と言えます。
食物繊維が豊富で抗酸化作用の高い野菜は、がんだけでなく生活習慣病予防の必需品です。
1日350g以上食べるようにしましょう。
抗酸化食品のほとんどは野菜や果物です。
成分としてはビタミンA、C、E や、緑茶や紅茶、ウーロン茶に含まれるカテキン(タンニン)、香辛料に含まれるフェノール(最近では、赤ワインに含まれているポリフェノールが話題になりました)、植物に含まれている黄色系色素のフラボノイドなどが抗酸化の役目を果たしています。
特に緑黄色野菜(トマト、にんじんなど)に抗酸化成分が多く含まれています。
ごま種子、菜種、ひまわり種子、小麦、胚芽、大豆、ピーナッツ、いんげん豆、
緑茶、紅茶、ウーロン茶、ココア、レモン、プルーン、ユーカリ、サクラ、ローズマリー、セージ、ターメリック、
納豆、みそ、しょうゆ、卵、バター、赤ワイン