死亡のトップはガン(悪性新生物)
メシマコブが注目されるのは、ひとえに、その抗ガン作用にあるといっても過言ではない。
動物実験では、群を抜く腫瘍阻止率を示したのはメシマコブだった。
ガンが現在、最も恐ろしい病気の一つであることは紛れもない事実である。だからこそ、予防が大事であり、早期発見、早期治療が重要になるのだが、ある程度進行してからガンが見つかると、手術、放射線、抗ガン剤(化学療法)という、いわば「ガン治療の御三家」による治療、もしくはそれらの組み合わせによって治療が行われる。
しかしこれらの治療法は、いずれも患者さんに手術という肉体的負担をかけ、あるいは副作用や後遺症などの問題を伴う。
さらに、正常な細胞にもダメージを与えてしまう可能性がある。
そこで最近では、ガン細胞をアポトーシス、つまり自殺に追い込むことが可能ではないかという考えから、幾多の研究が進められている。
もし、ガン細胞を自殺に追い込むことが可能なら、ガン治療における副作用の心配がほぼなくなり、予防はもちろん、手術後の再発防止、あるいは転移の予防に、長期にわたって用いることができるようになる。
この研究に臨んだのは、京都大学農学部、北海道医療大学薬学部、絵夢企画、日本生薬(株)からなる研究開発プロジェクトのメンバーで、天然メシマコブによる各種ガン細胞のアポトーシス誘発作用について、試験管内および動物を使った最新の研究で明らかにした。
まず、試験管内試験は3種類のヒト正常細胞と15種類のガン細胞(ヒトガン細胞)に、天然メシマコブの熱水抽出エキス(PL)を加えて、ガン細胞の変化、すなわちアポトーシスを起こしている細胞を観察したものである。
その結果、天然メシマコブは正常な細胞にはほとんど影響を与えないが、各種ガン細胞のアポトーシスを誘発していることが明らかになった。
この実験では、とくに肝ガン、胃ガン、小腸ガン、大腸ガンの細胞に対して強いアポトーシス誘導活性を示している。
膵ガンを除く消化器ガンに対してはいずれも25%以上の活性があり、天然メシマコブは消化器系のガン細胞を自殺させて、抗ガン作用を発揮することが期待される。
次に、試験管内試験で行われた天然メシマコブの活性を、動物実験で確認した。
まず、天然メシマコブ・エキスをマウスに2週間投与、処理したマウスから得られた細胞(腹腔内浸出液)と共培養し、アポトーシス誘導活性を調べた結果、試験管内試験と同様に正常細胞には何ら影響を示さず副作用もないことが判明した。
天然メシマコブそのものを投与したマウスから得られた体液にも、同じくガン細胞をアポトーシスさせる活性が認められた。
この試験においても、試験管内試験と同じように、肝ガン、胃ガン、小腸ガン、大腸ガンの細胞に対して、強いアポトーシス誘導活性があることが明らかになっている。
日本生薬提供:きのこ健康読本3 シリーズ健康の科学No.10 掲載記事のご紹介