天然メシマコブ 「いま、蘇る伝説のキノコ 」 (1)

天然メシマコブ 「いま、蘇る伝説のキノコ 」 (1)

抗ガン戦略の輝ける切り札として

苦節30余年、帰ってきたメシマコブ、32年前、最強のガン阻止率を示したこの実力

開発の経緯

メシマコブ・・・・・と聞いて、それがすぐにキノコの名前だとわかる人は、そう多くはないだろう。
昭和四十三年(1968年)、ガン研究のメッカであった国立がんセンター研究所で、各種キノコの抗ガン作用が調べられたことがあった。
その中の一つがメシマコブだった。

この実験は、当時の抗ガン剤の開発の主流であった「細胞傷害性」の観点とは180度異なる試みとして、国立がんセンター所長の故・中原和郎博士が提唱した「宿主仲介性」の試験法、つまり、宿主にもともと備わった免疫システムを賦活してガン細胞を叩き、免疫賦活活性による抗ガン作用の強さから、新薬を開発するという発想で、サルノコシカケ科などのキノコのスクリーニングを行ったものであった。

マウスに実験用ガン「サルコーマ180」を移植し、サルノコシカケ科などのキノコの熱水抽出物(煎じ薬に当たる)を腹部に注射して、5週間後の阻止率を測定したところ、メシマコブは抜群の腫瘍阻止率を示して第1位となった。

「サルノコシカケ・ブーム」の影で

この事実は、学会や医療研究者には驚きをもって迎えられ、「サルノコシカケ・ブーム」が起こった。

1977年には、カワラタケから分離抽出されたPSKという物質が、「クレスチン」と呼ばれる抗ガン剤として厚生省の認可を受けた。
しかし、β‐グルカンという大きな分子である多糖体は、経口投与で臨床的には期待されるような効果は認められなかった。

また、実験ではカワラタケよりはるかに高い効果が認められたメシマコブであるが、資源的には乏しいとのことから、「食用キノコ」についても同じ方法で実験がなされた。その結果、食用菌類もかなりの効果を示した。

その後、1985年にはシイタケの多糖体よりレンチナン、1986年にはスエヒロタケの液体培地由来の多糖体であるシゾフィランが、相次いで医薬品として認可された。

しかし、先の腫瘍阻止率の試験で最も効果の高かったメシマコブは、自然界のごく限られた場所に、しかも、僅かしか生育しないうえに、菌糸の生育が遅く、菌糸の培養や人工栽培のメドが立たないことから、開発は断念されざるを得なかった。

夢のような抗ガン剤の開発に希望がふくらんでいた時期だったので、研究者たちは次々に新しい目標にチャレンジしていた。入手困難なメシマコブは、いつしか忘れられ、研究は手つかずのまま時が流れていった。

一足早く、韓国で製品化

この〝隠れた逸材〝に目を付け、独自に菌糸体培養技術を開発し、そのエキスをガン患者に用い、克明な記録を残したのが、当時、広島県・西条中央病院にいた山名征三医師だった。

山名医師は日本での製品開発を諦めて、韓国に持ち込んだところ、国家プロジェクトとして立ち上げられることになった。

その後、1993年、培養菌糸体の熱水抽出物から「メシマカプセル」の製剤が開発され、製造・販売されるに至った。
1997年には韓国政府から正式に医薬品として認可され、メシマコブの製剤は韓国における1997年度の「科学技術賞」を受賞。翌年には、国内最高賞とされる「茶山賞」に輝いた。

こうして、隣国の韓国で開発されたメシマコブの培養品は、日本では、1998年に健康食品として販売が開発され、今日に至っている。
だが、栄養成分的に見て培養菌糸体は、明らかに子実体とは異なっているのは論をまたない。
天然メシマコブと同じ形状のもの(すなわち子実体)の栽培は、未だ実現されていない。
駆け足でメシマコブの開発の歴史を辿ってみたが、今、改めて、メシマコブとは何か、検証してみたい。

日本生薬提供:きのこ健康読本3 シリーズ健康の科学No.10 掲載記事のご紹介