記憶には短期機能と長期機能がある

記憶には短期機能と長期機能がある

私たち人間は、ものごとを覚えて、それを後になって思い出すことができます。この「記憶」という脳の重要な機能は、古くから、人々の興味を引いてきました。

「記憶」は、次の4つの過程に分類することができます。すなわち、記銘する(ものごとを覚える)、保持する(記憶を固定する)、再生する(記憶したことを思い出す)、再認する(以前に記憶したことと照らし合わせて同じことと認める)です。

さらに、記憶を保持する時間やメカニズムの観点から、記憶は「短期記憶」と「長期記憶」の2種類に分類することができます。「短期記憶」とは、初めての相手の電話番号を、メモを見て覚え(記銘)、ダイヤルを回す(再生)といった短い間の記憶をいい、「長期記憶」とは、自宅の電話番号のように半ば無意識で記憶(保持)している番号を何度でも回すことができる(再認)ような長い間の記憶をいいます。

海馬は、大脳辺縁系の古い皮質の中では比較的新しい皮質で、その横断面の形状が古代エジプトの太陽神アンモンの角に似ていることから、アンモン角とも呼ばれています。海馬は、「短期記憶」(言い換えれば短期間で捨てられる記憶)を一時的に貯めておくところであり、一方の「長期記憶」(長期間保存する記憶)は、側頭葉連合野に保存されるといわれています。海馬が、いうなればマガジンラックのような役割を果たすのに対し、側頭葉連合野は本棚にたとえることができるでしょう。マガジンラックに貯まった記憶のなかから、本当に必要な記憶が選択されて、側頭葉連合野の本棚に保存されるという仕組みになっています。私たち人間の学習や記憶の過程には、この側頭葉連合野と海馬を中心に、大脳皮質の連合野全体がかかわっています。

海馬は、「短期記憶」(言い換えれば短期間で捨てられる記憶)を一時的に貯めておくところであり、一方の「長期記憶」(長期間保存する記憶)は、側頭葉連合野に保存されるといわれています。海馬が、いうなればマガジンラックのような役割を果たすのに対し、側頭葉連合野は本棚にたとえることができるでしょう。マガジンラックに貯まった記憶のなかから、本当に必要な記憶が選択されて、側頭葉連合野の本棚に保存されるという仕組みになっています。私たち人間の学習や記憶の過程には、この側頭葉連合野と海馬を中心に、大脳皮質の連合野全体がかかわっています。

連合野は感覚野や運動野に比べて、大脳皮質のなかでも、思考や判断を含む最も高次な機能をつかさどっているところです。つまり、人間が人間らしくあるための機能をつかさどっている部分と言えるでしょう。

ところが問題なのは、アルツハイマー病で脳細胞死が集中的に起こり、破壊が進むのは、この最も高次の部位である連合野から始まり、より低次の感覚野や運動野の働きは末期まで比較的よく保たれているという事実です。そのため、アルツハイマー病の患者さんは、末期に至るまで耳は聞こえ、目も見え、歩くこともできます。しかし一方で、最も人間らしい行動を保つための連合野の脳細胞が広範囲に破壊されてしまうため、感覚情報を思考や判断に結びつけることができず、また筋肉運動を統合して行動に目的を与えることができません。その結果、失見当や徘徊などの悲惨なアルツハイマー病特有の痴呆症状が現れることになってしまうわけです。

以上、岡山大学 医学博士 大山博行著 「脳を守る漢方薬」より引用
詳しくは、光文社カッパブックス「脳を守る漢方薬」を御一読ください。

目次

プロローグ - ボケずに100歳まで生きるために

第1章 ボケがここまでわかってきた

第2章 脳細胞は自殺する

第3章 老化の原因は「活性酸素」だった

第4章 漢方薬の驚異のボケ防止作用

第5章 病気を未然に防ぐ「養生(ようせい)の法」

第6章 幸せになるための3つの処方箋

エピローグ - ボケを予防する6ヶ条

あとがき-謝辞に代えて

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著書「脳を守る漢方薬」

認知症、アルツハイマー病、脳血管障害に、光明、最先端科学で、実証された、漢方薬の効果が明かされる。

「脳を守る漢方薬」

エビデンスの解説、紹介
医学博士 大山博行

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