このように、スーパーオキシドは細胞内で絶えず大量に発生しますが、これを迎え撃つ生体側も、ただ手をこまねいているわけではありません。じつは、私たち人間は、生まれたときからすでに、この悪魔の酸素(活性酸素)に対するほぼ完璧な生体防御システムを備えているのです。そして、凄いことに、この防御システムに関しては、脳からの命令を受けるまでもなく、生体のあらゆるところで、活性酸素の発生をキャッチすると同時に駆動するシステムになっています。
活性酸素を消去する生体内物質(抗酸化剤)のなかにも、その能力により、位、階級が存在します。そして、その最上位に位置するのがSOD(スーパーオキシド・ジスムターゼ)と呼ばれる誘導酸素です。SODは、生体が酸化ストレスにさらされると同時に、その部位に自動的に誘導合成されるという特別な能力を持っています。
誘導酸素SODは、細胞内でのエネルギーを産生する場所にあたるミトコンドリアに多く含まれ、前述した細胞のエネルギー代謝の過程で発生するスーパーオキシドを、なんと1秒間に10万個以上のスピードで消去する力を持っています。
しかし、スーパーオキシドは、この最高の位に位置する誘導酸素SODには歯が立たないまでも、やっかいなことに、ただ敗れるだけではないのです。もっとも恐ろしいのは。この反応の結果、第3の悪魔であるヒドロ・ペルオキシドを誕生させることです。
以上、岡山大学 医学博士 大山博行著 「脳を守る漢方薬」より引用
詳しくは、光文社カッパブックス「脳を守る漢方薬」を御一読ください。