すべての病気の鍵を握る脳の働き

すべての病気の鍵を握る脳の働き

私は、実家が東洋医学の家系であったため、子どものころから鍼灸や指圧、漢方の煎じ薬などに接してきました。そして身をもってその効果を確認してきた者です。しかし、東洋医学の治療効果は、西洋医学のようにすっきりと科学的に説明できませんでした。

そこで私は、東洋医学のすばらしさを一人でも多くの人にわかってもらいたくて、漢方薬や鍼灸の勉強をするとともに、その科学的な解明のために、大学や研究機関で薬学(生物薬品化学)、さらには分子細胞医学(神経情報学)を学びました。その一連の研究のなかから、漢方薬をはじめとする東洋医学に基づいた治療効果を科学的に説明できるようになりました。

たとえば、現在では西洋医学の治療にも用いられるようになった鍼麻酔の効果も、脳の神経伝達物質、β-エンドルフィンとの関係により、うまく説明がつくようになったのです。さらに、東洋医学が経験的に得意としてきた慢性胃炎や肝炎、気管支炎、神経痛、腰痛などの慢性疾患や、喘息、皮膚炎などのアレルギー疾患、そして自律神経失調症などの精神神経疾患の治療効果も同様に説明できるようになりました。

ところが、脳に関する研究の飛躍的な進歩により、脳の働きがある程度わかってくると、東洋医学の効果も科学的に説明できるようになってきました。たとえば、現在では西洋医学の治療にも用いられるようになった鍼麻酔の効果も、脳の神経伝達物質、β-エンドルフィンとの関係により、うまく説明がつくようになったのです。さらに、東洋医学の得意とする慢性疾患(慢性胃炎、肝炎、気管支炎、神経痛、腰痛など)やアレルギー(喘息、皮膚炎など)、そして自律神経失調症などの精神神経疾患の治療効果も同様に説明できるようになりました。そして、東洋医学が私たちの健康に大変役立つものであることがはっきりわかってきたのです。

特筆すべきは、脳の働きと東洋医学との関係の解明です。漢方薬はもちろんのこと、鍼灸などが効果を発揮するのは、まず脳に作用して神経伝達系をうまくコントロールし、私たちに本来備わっている生体防御システムを活性化するためであるということがわかってきました。人間は、誰でも体内に、あらゆる疾患に対する防御機能を持っています。それが十分に働いていれば、ガンや心臓病、脳血管障害などの成人病(生活習慣病)はもとより、痴呆症さえも抑えることが可能なのです。

鍵を握っているのは脳の働きです。たとえば私たちが日常生活のなかでなんらかのストレスを受けると、それに反応して私たちの心は変化します。その心の変化が脳に変化を与え、生体防御システムに影響をもたらします。こうした病気のメカニズムが、科学的に解明されるとともに、あらためて、東洋医学の力が見直されてきたのです。

今から、2000年以上も前に、中国の扁鵲(へんじゃく)という人が、世界で初めてといってもよい医学書を著わしました。その本の中で彼は、真の名医は「未病を治す」と述べています。未病、つまり、いまだ発病していない未来の病気を予測し、発病前に治すのが本当の医学であり、東洋医学の基本だというのです。東洋医学とは、「病気にさせない医学」だといっていいでしょう。

私が目指し、この本でも提唱したいのが、まさにこの「未病」の段階で病気を治す、という考え方です。むろん痴呆症も例外ではありません。それを私は「養生(ようせい)の秘法」として、後に紹介したいと思います。繰り返し述べますが、そこで重要なのが「脳のメカニズム」を知ることなのです。

以上、岡山大学 医学博士 大山博行著 「脳を守る漢方薬」より引用
詳しくは、光文社カッパブックス「脳を守る漢方薬」を御一読ください。

目次

プロローグ - ボケずに100歳まで生きるために

第1章 ボケがここまでわかってきた

第2章 脳細胞は自殺する

第3章 老化の原因は「活性酸素」だった

第4章 漢方薬の驚異のボケ防止作用

第5章 病気を未然に防ぐ「養生(ようせい)の法」

第6章 幸せになるための3つの処方箋

エピローグ - ボケを予防する6ヶ条

あとがき-謝辞に代えて

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認知症、アルツハイマー病、脳血管障害に、光明、最先端科学で、実証された、漢方薬の効果が明かされる。

「脳を守る漢方薬」

エビデンスの解説、紹介
医学博士 大山博行

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