さて、日本人の死因の真実の一位は「血管疾患」なのですが、その大部分は、脳と心臓の血管障害で、脳梗塞と心筋梗塞が中心になります。
心筋梗塞と脳梗塞の第一の危険因子は、動脈硬化です。「人間は血管から老化する」といわれるように、若いときは柔らかく弾力性のあった血管が、老化が進むにつれて硬くなり、血管壁が肥厚して血液の通路を狭くなります。さらに、血管の内壁にはコレステロールなどが沈着して、こぶのようなものがせりだしてきて、さらに通路を狭くします。動脈硬化とは、簡単に言えばこのような現象です。
このように狭くなった血管は、いうまでもなく、ものが詰まりやすくなります。血管壁に沈着したコレステロールなどの脂肪が血液中に流れ出すと、血液凝固が起こりやすくなり、血栓という血液の固まりができます。この血栓が、心臓の冠動脈で生じると心筋梗塞を誘発し、脳の血管で生じると脳梗塞を誘発することになります。
血管が詰まることで血流が不足した状態、このような状態を「虚血」と言いますが、虚血に陥った脳細胞や心筋細胞では、栄養や酸素が不足します。この状態が高じると細胞は壊死を起こすことになりますが、これらの病気をまとめて「虚血性疾患」と呼んでいます。 そして、脳梗塞と心筋梗塞を合わせた虚血性疾患による死亡率は、ガンをも上回っています。しかも、この虚血性疾患が現在の日本人に急増しているのです。
以上、岡山大学 医学博士 大山博行著 「脳を守る漢方薬」より引用
詳しくは、光文社カッパブックス「脳を守る漢方薬」を御一読ください。